2021 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the historical development of evaluation trade and its structural analysis in the early modern Ryukyu Kingdom
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18K12492
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Research Institution | Okinawa University |
Principal Investigator |
前田 舟子 沖縄大学, 経法商学部, 准教授 (70802859)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 近世琉球 / 清代 / 評価貿易 / 冠船貿易 / 冊封 / 評価方日記 / 久米村 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では、主に次の3つについて考察を行った。1つは、琉球側の視点で評価貿易を捉えることである。これまでに収集したおよそ90件余りの尚家文書の評価貿易史料を解読し、琉球側がどのように評価貿易に取り組んでいたのか、王府と評価役人の視点で考察を行った。2つは、評価貿易に従事した福建商人についてである。アジア海域(清朝・台湾・朝鮮・日本・東南アジア)で躍動した海商たちと比較してその特徴を明らかにした。特に、福建商人が琉球以外の地域で行った貿易活動について、福建や東南アジアの地方文献を中心に調査した。福建商人の足跡については、当該年度はCOVID-19の影響により実施できなかったが、2年目(2019)に収集した台湾屏東県に住む福建商人の末裔の系譜を読み解くことができた。3つめは、福建商人が使用した蘇州碼と呼ばれる商品の価格記号についてである。台湾の土地契約や売買に関する古文書には蘇州碼が用いられており、台湾では同記号に関する研究が豊富である。蘇州碼の解読法は会得できたが、蘇州碼と福建商人との関係性については今後の課題である。 このように、琉球の評価貿易は商人たちの私的な活動ではなく、冊封に付随して行われた公的な商取引であり、清朝皇帝の庇護下で実施されたものであった。とはいえ、アジア世界で活躍する福建商人を相手に取引するのは並大抵のことではなく、毎回の交渉は難航した。冊封使でさえも福建商人らをまとめるのは難しかったようで、その様子が琉球の評価日記などに記録されている。管見の限り、評価貿易に関する古い記録は康熙58年(1719)で、当時の琉球側の業務記録や福建商人の持込品リストが現存している。 今後は、他地域における冊封使や福建商人が関与した公的な貿易の存在の有無を調べ、評価貿易との比較を試みたいと考えている。そこからアジア海域における評価貿易の位相を明らかにしてみたい。
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Research Products
(5 results)