2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K12506
|
Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
手塚 雄太 國學院大學, 文学部, 准教授 (60802767)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 日本史 / 日本近現代史 / 日本政治史 / 選挙研究 / 地方政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は①前年度までに作成した、後援会等の政治団体の設立目的・推薦者名・創立年月日等が記された戦前期の内務省警保局が作成した警察関係の一次史料(国立国会図書館憲政資料室所蔵「山岡萬之助関係文書」所収文書及び「松本学関係文書」、その他都道府県文書館所蔵の同種の史料)をもとにしたデータベースを用いた分析、②守屋栄夫文書の調査・研究を中心に行った。 ①については、選挙に関する学会誌に投稿し、査読の結果、2022年度中に掲載されることが決まったことが最大の成果である。②については、日記の読解を継続して行った。日記から、日常的な活動によって有権者からの支持をつなぐ候補者の姿がありありと伺うことができた。 ただし、2019年度まで行っていた③都道府県文書館における警察関係史料・後援会関係史料の調査は、研究代表者が本務校から在外派遣研究を命じられたため、いっさい行うことができなかった。その代わりにアルバイトの協力を得て、ウェブから利用できる新聞データベースを用い、個人後援会に関する新聞資料の調査を行った。調査の結果、いくつかの後援会の存在が明らかになった。また、選挙における候補者家族の役割を知り得たことは当初想定していなかった収穫の一つであった。 このほか戦前期政党政治に関する学術書の書評を執筆し、2022年度中に掲載予定である。また、在外派遣研究先のルーヴェン・カトリック大学において本研究に基づく内容を英語で講演する機会を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度、研究代表者は所属機関から在外派遣研究の命を受けたため、日本国内での調査が難しかった。またアルバイトの協力による調査も、2019年度末から続く新型コロナウイルス感染症の影響で従前通りには行えなかったため、進捗はやや遅れている。ただし、本研究が当初から大きな目標としていた戦前期の後援会を量的な分析する研究が、論文の形で公表できる見込みとなったことは、大きな成果である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は可能な限り都道府県文書館における警察関係史料・後援会関係史料の調査を行い、警察関係の一次史料を見いだしたい。あわせて守屋栄夫文書の分析も進める。 また、新聞史料の調査により明らかになった候補者家族の選挙戦での活動についても継続して調査を進め、政治家の支持基盤や選挙運動の実態について、ジェンダーや家族の視点も意識しつつ検討したい。
|
Causes of Carryover |
2021年度、研究代表者は在外派遣研究に従事した。このため、国内出張旅費が執行できなかった。アルバイトによる史料の入力・整理作業を中心に行ったが、こちらは新型コロナウイルス禍により、当初予定よりは執行額が少なくなった。 残額については時期をみて過去2年間行えなかった出張調査を行うとともに、アルバイトの雇用によるる史料の入力・整理作業を早期から進めることで執行していきたい。
|