2019 Fiscal Year Research-status Report
Exploring the Political Economic History of the Postwar Okinawan Business Community: Focusing on the Construction Industry
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18K12510
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Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
秋山 道宏 沖縄国際大学, 総合文化学部, 准教授 (90813767)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 沖縄経済 / 米軍基地 / 経済界 / 建設業界 / 占領と経済 / 同族企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、研究計画に即し、基礎資料の収集の継続とインタビュー調査を実施しつつ、収集済みの資料を用いて投稿論文(査読付)をまとめて公表した。 基礎資料の調査では、2019年5月、8月および2020年3月に沖縄・東京に調査出張におもむき、必要な資料の収集を実施した。沖縄においては、沖縄県公文書館および沖縄県立図書館に所蔵されている経済界および建設業界の資料について、昨年度収集できなかった1970年代後半から80年代にかけての資料の収集を行った。また、東京では、2020年3月に法政大学沖縄文化研究所を訪れ、沖縄県内主要機関(公文書館および県立図書館)に一部しか収蔵されていない戦後沖縄の政治経済・経済界関連の資料を収集した。具体的な資料の中身としては、沖縄経営者協会が1964年以降発刊していた『経営管理研究通信』と『経営懇話会通信』という簿冊5点である。その他、インタビュー調査としては、地域における政治・経済活動と政治家の関わりとして、2019年8月に沖縄県議会議員(現役)に聞き取りを行った。 本年度は、以上の調査結果と2018年度に収集済みのデータを用いて、沖縄国際大学南島文化研究所紀要『南島文化』42号に研究論文を投稿し、査読を経て掲載が認められた(2020年3月発刊)。論文のタイトルは、「日本復帰前沖縄の政治経済と経済界:建設業界の動向に着目して」となっており、機関レポジトリでも広く公開される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の進捗状況としては、研究計画に即して、調査研究と成果公開の両面において、おおむね順調に進んでいる。ただし、資料収集の現状としては、課題としていた日本復帰後の建設業における受注関連の入札データの収集について、入手経路を含めていまだ検討中であり、また、米国の国立公文書館での資料収集を実施することが叶わなかった。加えて、インタビュー調査についても、実施数が限定される結果となった。その主な理由としては、2019年9月以降に所属機関の変更があるなか、研究成果の公表のために時間を割いたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、資料調査、インタビューおよび研究成果の整理・公開を下記の通り進めていく。ただし、新型コロナウィルスの感染状況によって、国内外での調査の遂行が困難となる可能性があるため、社会情勢に応じて計画を修正・変更しつつ研究を遂行していく予定である。 まず、資料調査およびインタビューは、最終年度ということもあり、対象を絞って実施していく。資料調査では、基礎資料の収集はおおむね終了しているため、建設業の歴史的な成立過程と米軍基地建設との関わりに限定して、米国の国立公文書館や企業アーカイブズにおいて資料収集を行いたい。また、インタビュー調査だが、2019年度に公表した研究論文で浮かび上がった「戦後沖縄におけるグループ企業の歴史的な形成」という視点も重視しつつ、政治経済において重要な位置を占めてきた國場組(企業グループ「國和会」)を対象とし、可能な限りインタビューを実施する。 最後に、研究成果の整理・公開に関しては、上記の『南島文化』42号の研究論文にて扱えなかった、1970年代後半から80年代の経済界の動向について、重点的に整理するとともに、これまでの調査で得られた知見から経済界と建設業界の通史について概説的なまとめを行う。いずれの研究成果についても、書籍ないし研究論文として公表を進めていく。
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Causes of Carryover |
昨年度は、おおむね順調に研究を進めることができたが、主に人件費・謝金と旅費について費用支出が抑えられたため、次年度使用額(繰越)が発生している。その理由としては、2019年9月の所属機関の変更によって、調査対象である沖縄へ赴任したことで調査出張の数が減少したことと、国外での資料調査が研究スケジュールの関係で実施できなかったためである。また、インタビュー調査の実施数が限定されており、人件費・謝金の支払いもなかった。2020年度については、研究上必要な国内外の資料調査を、スケジュールに余裕をもって計画し、適正に研究費を使用していく。
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Research Products
(3 results)