2018 Fiscal Year Research-status Report
近代地域史研究のための旧藩社会に関するアーカイブズ資源研究―旧佐倉藩を中心に―
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18K12516
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
宮間 純一 中央大学, 文学部, 准教授 (10781867)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 佐倉藩 / 堀田家 / アーカイブズ / 記録 / 記憶 / 旧藩社会 / 大名華族 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、千葉県佐倉市に複数回出張し、同市が保管している「下総佐倉 堀田家文書」など旧佐倉藩に関係する文書約1000点を調査することができた。また、調査の過程で佐倉市史編さん担当の仲介にて、旧藩士家を出所とする「下総佐倉 岩瀬家文書」約300点を見出し、夏と春に集中して調査を行うことができた。岩瀬家は旧藩士として堀田伯爵家の土地管理にかかわった家であり、同文書群の分析により、堀田家の活動および旧藩社会の実態がより鮮明となることが期待される。 さらに、佐倉地域との比較検討を行うため、旧宇和島藩主伊達家文書や旧伊予松山藩主松平家関係文書・旧秋田藩士中田家文書・旧久留里藩主黒田家関係文書等の調査・分析も行った。原本を閲覧するために愛媛県や京都府等への出張調査を実施している。特に、大名華族家間における文書の往復をめぐる史料を収集できたことは大きな収穫であった。 以上の研究活動で得た知見をもとに、学会での研究報告および研究論文の執筆を行った。学会での報告を通じて、専門分野が隣接する研究者と活発な意見交換を行うことができ、研究の視点が拡がった。加えて、佐倉市民に対しても成果の一端を発信する機会を得て、活用のあり方について意見をうかがい、今後の方針を再考することができた。 また、本研究活動に支援をいただいている佐倉市の職員のほか、旧城下町において歴史研究・文化財保存に第一線でたずさわってきた学芸員等の研究者数名に呼びかけ、本テーマに関わる論文集の編纂に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りに調査を進められていることに加えて、想定していなかった新出の文書群を見出し、調査することができた。これにより、研究がより深みのあるものになることが期待される。また、学会で発表する機会を得たことで途中経過ではあるが、計画段階では見込んでいなかった論文を公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
佐倉市における調査を引き続き実施すると同時に、市外に所蔵されている文書の調査を行う。比較対象となる旧大名家の文書群も調査する。また、併行して現在までに収集したデータの整理や資料の翻刻を進め、最終年度(2020年度)における成果のとりまとめに備える。 ある程度成果の見込みがついた段階で、他地域における研究者の助言・批判を得るため、東京での研究会を開催する予定である。
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Causes of Carryover |
申請時に所属していた国文学研究資料館を転出し中央大学に赴任したことにより、アルバイトの雇用・作業スケジュールなどについて予定を変更した。また、若手研究における独立基盤形成支援(試行)が9月に採択されたことにより当初計画より今年度の予算に余裕が生じた。次年度における史料データ整理のための研究補助員の人件費や旅費・設備費等に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)