2020 Fiscal Year Research-status Report
近代地域史研究のための旧藩社会に関するアーカイブズ資源研究―旧佐倉藩を中心に―
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18K12516
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
宮間 純一 中央大学, 文学部, 准教授 (10781867)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大名華族 / 旧藩社会 / 士族 / アーカイブズ / 地域社会 / 佐倉藩 / 堀田家 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、可能な範囲で史料調査を実施した。特に、少人数にて佐倉市における史料調査と関係史料の収集を進めた。佐倉市内においては、「下総佐倉 堀田家文書」のうち、堀田伯爵家が作成した会計関係史料や土地経営史料の調査を進めたほか、本科研の過程であらたに発見された旧藩士家に伝来した史料「下総佐倉 岩瀬家文書」の整理を行った。 堀田伯爵家の旧蔵史料のうち、明治期以降の家政に関する基本的な事項を記載した詳細な記録である「家扶日記」については、翻刻作業をアルバイトの補助を得て進めてきた。現在は、明治20年代の分について活字化を進めているところである。また、あわせて岩瀬家文書に含まれる幕末から明治初期にかけての旧佐倉藩に関する重要史料の翻刻作業も行ってきた。 他地域の史料調査については、出張が予定通り進められなかった部分があったものの、愛媛県立図書館にて撮影した宇和島藩の政務日記などの読解を行ってきた。また、東京近隣の史料所蔵機関(千葉県文書館、千葉市郷土博物館ほか)に出張して大名華族関係史料の閲覧・撮影を行った。 研究成果としては、堀田伯爵家の地主経営に関する論文を発表した。また、岩瀬家で作成された幕末期の「横浜出張手控」を史料紹介した。この他に、関連分野の研究者と協力して本科研の成果をまとめた編著『歴史資源としての城・城下町』(岩田書院)を年度末に刊行することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度までは、計画通り進めてきたが、新型コロナウィルス感染症の拡大により、2020年度に実施する見込みであった出張調査が思うように実行できず、またシンポジウムの開催も見送らざるを得なかった。当初計画から遅れが生じたため、研究機関の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、2020年度までに予定していたが実施できなかったことを補う。 第一に、千葉県佐倉市内および関係地域の史料群について補足調査を行う。佐倉市においては、堀田家文書の調査を継続するのはもちろん、岩瀬家文書についても重要な資料を整理作業を実施する。 第二に、すでに収集した資料の読解および、作成した目録の整理・編成を引き続き行う。どちらも昨年度から継続して行ってきたことではあるが、いずれも研究成果を発表する上で必須の基礎作業となるため、アルバイトの補助を得ながら順次進めて行く。 第三に、上記の作業を踏まえながら史料群の構造分析を行いつつ個別の資料の読解・理解を深め、近代地域史研究の視座にたった考察を行ってゆく。 第四に、研究成果の発表を行う。2020年度までにおいて、他地域をフィールドとする研究者との意見交換を行ってきた。本研究は、他地域との比較によって初めて普遍化が可能となる事例研究である。そのための場として2021年度末に複数地域の研究者を招いたシンポジウムを東京ないしは関係地域にて開催する計画を立てている。また、同時に個別論文・学術書の執筆もあわせて進めて行く。 以上について懸念されるのは、新型コロナ・ウィルス感染拡大の影響である。感染収束の見通しが立たない中で、史料調査やシンポジウムを行うことは困難である。予定通りに研究を遂行することが難しい場合は、作業を限定してできる範囲のことを実施し、適宜オンラインも利用してゆく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により予定していた史料調査等を延期せざるを得なくなったため。
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Research Products
(3 results)