2021 Fiscal Year Research-status Report
Changes of Choson Korea's trade with Qing China in the 18th Century
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18K12520
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
辻 大和 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (50632303)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 朝鮮王朝 / 東アジア / 清朝 / 国境 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は新型コロナウィルス感染拡大による国内移動の自粛、海外渡航の制限により、大きな制限を受けつつも、前年度からの研究の整理を中心に進めた。 前年度取り組んだ、中朝貿易における管理の変容問題については、明の地理書『大明一統志』の輸入が、17~18世紀の朝鮮でどのように行われたのか、そして清朝によってどのように管理されたのか、という課題を中心に取り組み、その成果を小二田章、高井康典行、吉野正史編『アジア遊学259 書物のなかの近世国家 東アジア「一統志」の時代』(勉誠出版、2021年)に「朝鮮燕行使の『大明一統志』輸入について」として掲載することができた。 本年度元来集中的に取り組むことになっていた人蔘の栽培開始問題に関係して、朝鮮王朝期後期に人蔘の用途拡大があることを明らかにし、前年度からの準備をもとに韓国・朝鮮文化研究会第22回研究大会(オンライン)において「近世以降韓国における嗜好品としての薬用人蔘について」として口頭発表を行い、そこでの議論をもとに大坪玲子、谷憲一編『嗜好品から見える社会』(春風社、2022年)に「近世以降韓国における薬用人蔘製品の流通と消費」として掲載することができた。 前年度積み残しとなっていた朝鮮から清向けの銀輸出問題については、公刊資料を中心に文献情報を集積した。そして華人商人が朝鮮を来訪することが少ないことに着目して、18世紀後半朝鮮での貿易関係言説を検討し、新潟大学「近世・近代環東アジア地域における都市ネットワークに関する社会動態史研究」研究会(オンライン)において「朝鮮後期における外国人の入境について―華人商人を中心に」として口頭発表した。 ただ移動制限による資料収集の遅れにより、中江貿易など十分に取り組めていない課題があり、研究計画には遅延が生じており、研究期間を延長して今後取り組む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は計画段階では薬用人蔘の栽培開始問題に取り組むことになっており、前年度からの準備を踏まえて研究を進め、成果発表を行うことができた。 さらに前年度からの積み残しになっていた中朝貿易の変容問題についても地理書を中心に成果発表を行うことができた。 一方で、移動の制限により資料収集が進まない課題もあり、中江貿易の管理問題は積み残しとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度口頭発表を行った銀輸出問題について論文化を進めるとともに、中江貿易の管理問題の課題を含め、外国渡航が可能になれば旅費を用いた研究活動、資料収集、学会発表を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大による渡航制限により、旅費を用いた海外での史料調査、学会発表を行うことができなかった。次年度に渡航可能になれば、史料調査など旅費を用いた研究活動を行う計画である。
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