2019 Fiscal Year Research-status Report
近世東アジアの地方史誌と中国の地方志編纂の影響―編纂過程を手掛かりに
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18K12528
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小二田 章 早稲田大学, 文学学術院, その他(招聘研究員) (10706659)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 東アジア / 地方史誌 / 地方志 / 一統志 / 編纂過程 / 史学史 / 社会 / 近世中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
東アジア各地域の研究者と議論を行う国際シンポジウム「東アジアの一統志」(於早稲田大学、2019年7月28日)を主催し、基調報告を行うと共に、参加した研究者と議論を行った。また、シンポジウムを足がかりに『アジア遊学』の特集「一統志の時代」(勉誠出版、2020年度刊行予定)のコーディネイト・編集に着手した(報告者は総論と論文ひとつ、論文翻訳ひとつを担当予定)。さらに、日本の近世地方史誌(『豊後国志』)について、近年公刊された訳注書を対象にした書評を発表し、東アジア地方史誌比較の議論の試金石とした。加えて、前年度に行った「女性・ジェンダー史」に関する報告を手がかりに、小浜正子編『中国ジェンダー史研究入門』の新刊紹介を発表した(『歴史学研究』986号、p63、2019)。なお、中国地方志の草創期にある南宋の3つの「臨安志」について、その時代性と地方志編纂の歴史的意義を検討する報告を早稲田大学東洋史懇話会大会(2020年3月21日、於早稲田大学戸山キャンパス36号館682教室)にて行う予定だったが、コロナウイルス流行に伴い、大会ごと中止となってしまった。 本年度は、配偶者の多忙や本人の求職活動・着任準備に伴い、前年度同様に育児・家庭負担が発生した。それに年度末に発生したコロナウィルス問題による研究活動の著しい阻害が加わり、結果予定の項目内容が多く延期された。①英語誌への投稿、②単著出版準備、③AAS参加がそれぞれ次年度に延期となった。特にAASは次年度の開催・参加自体が不透明な状態である。また、史料調査は、台湾・国家図書館と上海・上海図書館にて行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まず、前年度からの引き継ぎ事項であった、国際シンポジウム「東アジアの一統志」(於早稲田大学、2019年7月28日)を主催し、基調報告「「東アジアの一統志」 ―「一統志」という現象を考える」を行うと共に、参加した研究者と議論を行った。報告者の基調報告は、中国の三つの「一統志」の編纂を概括し、議論の方向性を示そうとした。また、『アジア遊学』の特集「一統志の時代」(勉誠出版、2020年度刊行予定)の編集に着手した。包括的議論の糸口作りを試みたものであり、報告者自身も総論と論文ひとつ、論文翻訳ひとつを担当する。また、日本の近世地方史誌について訳注書(『訓読 豊後国志』思文閣出版、2016)を対象にした書評(『埼玉学園大学紀要』人間学部篇19号、pp.399-401、2019)を発表し、東アジア地方史誌比較の議論の最初の手がかりとした。加えて、小浜正子編『中国ジェンダー史研究入門』の新刊紹介を発表した(『歴史学研究』986号、p63、2019)。なお、南宋の3つの「臨安志」について、その時代性と地方志編纂の歴史的意義を検討する報告を早稲田大学東洋史懇話会大会(2020年3月21日、於早稲田大学戸山キャンパス36号館682教室)にて行う予定だったが大会ごと中止となってしまった。 今年度も育児・家庭負担が発生したが、さらに年度末に発生したコロナウィルス問題により研究活動が著しく阻害されたため、研究の目標遂行に大きな遅れと延期が生じた。まず、「英語による論文投稿・刊行」が次年度に延期となった。また、「自身の研究まとめと単著刊行準備」は再々度次年度に延期せざるを得なくなった。そして、英語圏の大規模学会AASへの参加は、コロナウイルス問題で今年度の会議が中止となり、次年度以降の参加も不透明になる状況となっている。 その他、東アジア地方史誌の調査を上海・上海図書館と台湾・国家図書館にて行った。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、既に計画済みのものとして、『アジア遊学』の特集「一統志の時代」(勉誠出版、2020年度刊行予定)を主編し、紙上にてより広く(世界史上の近世・地方史誌について)議論を行い、かつ発信を行う。また、日本の近世地方史誌と中国地方志の比較検討を行う論考を作成・投稿し、議論を提示と周知を図りたい。さらに、延期されている英語論文投稿を行う。 そして、上記の議論を含めて、論文の整理・投稿を行い、延期されている単著(近世中国の地方志と編纂過程に関する研究書)の刊行準備に着手する。 以上に加えて、コロナウィルス問題の趨勢を見ながら、可能になり次第国内・国外での学会参加・史料調査を行いたい。
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Causes of Carryover |
2月に行った台湾での史料調査の際に購入した書籍を郵送したところ、落手したのが年度明けであり、手続き的に次年度の清算に回したため。 該書籍の費用を次年度の助成金のうちで処理するにあたり、繰越分と併せて処理したい。
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Research Products
(4 results)