2021 Fiscal Year Research-status Report
A Study of National Integration by referring to the local historical materials and socio-educational history in modern China.
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18K12530
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
大澤 肇 中部大学, 国際関係学部, 准教授 (00469636)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中国近現代史 / 学校教育 / 地域社会 / 中華民国史 / 中国教育史 / 上海新華書店旧蔵書コレクション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、中国において「地方文献」(県などの地域社会において独自に編集・発行された地域社会の様相を示した文献のこと)と呼ばれる新史料を発掘・駆使し、これまで本格的に考察されたことのない、近現代中国、特に1930~50年代の中国において、国家が近代教育を普及、あるいはそれに介入することで、地域社会が国家にどのように統合されていったのか(あるいは統合されなかったのか)という問題を、主として中国江南地域の農村を対象として分析する、という点に独自性がある。 本年度も、COVID-19パンデミックによって、外国への渡航が制限され、現地史料調査が全く遂行できなかった。また国内においても、東京などの地域ではたびたび緊急事態宣言が出され、図書館などの利用制限もかかったこと、並びにパンデミック下における本務校での教育業務の増加、家庭の事情、およびそれに伴う心身の疲弊から、国内での資料調査が実施できなかった。 ただし、2018-2020年度に収集した史資料をもとに、今年度は下記のとおり、論文1報を執筆し、オンライン発表を1件行った。 論文:大澤肇「中華人民共和国建国初期上海及其近郊農村公弁教育的重建」公益財団法人東洋文庫現代中国研究班編『集体化時代的中国 日中共同研究』公益財団法人東洋文庫、2021年9月 発表:大澤肇「上海新華書店旧蔵書コレクションの利用-中国教育史研究を例にして」国立国会図書館関西館・公益財団法人東洋文庫共催研究会『新たな現代中国研究の推進―国立国会図書館関西館及び東洋文庫の所蔵資料をめぐって』オンライン、2021年4月17日
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本来、本研究課題は、21世紀初頭における中国現地におけるアーカイブの開放によって、日本のみならず世界における中国近現代史研究が、実証的な取り組みが可能になってきたにもかかわらず、中国における習近平体制の成立により、アーカイブが逆に閉鎖的になっていったという事態に対して、「地方文献」の発掘・収集・整理・アーカイブ史料や公刊史料との突き合わせによって、これを乗り越えることを企図していた。 しかしながら昨年度に引き続き、本年度も、COVID-19パンデミックによって、外国への渡航が制限され、現地史料調査が全く遂行できなかった。また国内においても、東京などの地域ではたびたび緊急事態宣言が出され、図書館などの利用制限もかかったことから、国内での調査も実施できなかった。 またパンデミック下における本務校での教育・行政業務の増加、家庭の事情、およびそれらに伴う心身の疲弊から、研究時間の確保も困難を極めることとなった。 以上から、当初の研究計画のとおりに研究活動は遂行できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記【研究実績の概要】および【現在までの進捗状況】に記したように、COVID-19パンデミックにより、2021年度も海外史料調査を中心とした研究活動ができなかったため、研究計画の延長を行った。なお、2022年度は、本若手研究を基課題とする「国際共同研究強化A」によって、台湾に渡航しての研究を行う予定であったが、本報告書執筆の2022年5月時点では、台湾への入境が難しい状況にある。一方、日本国内の感染状況は高止まりとはいえ、他地域への出張は可能なので、台湾入境前/後に、東京・関西などにある日本国内の図書館・研究機関における史料調査の実施なども考慮に入れて研究計画を組み直し、遂行することも視野に入れている。
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Causes of Carryover |
旅費:2020年度に引き続き、COVID-19パンデミックにより、予定していた国内外での史料調査が実施できなかったため。 人件費・謝金:2020年度に引き続き、COVID-19パンデミックにより、史料整理などのアルバイトの雇用が難しかったため。
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