2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Role of the Qinghai Tibetan Buddhist Network in the Historical Development of Northeast Asia
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18K12531
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
池尻 陽子 関西大学, 文学部, 准教授 (50795044)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 清・チベット関係 / 雍和宮 / 転生化身僧 / ラプラン |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナウィルス感染症による影響で期間延長を行い最終年度となった2022年度も、やはり調査対象地域である青海やモンゴルでの現地調査は実施することは叶わなかったが、国内での資料調査と国内外での成果発表を中心に実施した。 本研究課題は青海チベット仏教寺院ネットワークが果たした役割に主眼を置くものであるが、青海のチベット仏教寺院とその出身者が清代に特に隆盛となる要因の一つは、彼らが北京や内モンゴルに拠点を築いた点にある。それらのうち、特に北京の雍和宮には、青海出身者が多数を占める駐京転生化身高僧たちの私室(ラプラン)が設置された。一方、この雍和宮には中央チベット出身高僧たちが教学の担い手として数年任期で任用されていた。青海出身高僧と中央チベットからの派遣高僧らは、ともに清朝のチベット仏教政策に関与し、雍和宮からさらに清朝各地の勅建寺院へと選派されていた。こうした雍和宮を接点とする中央チベット僧と青海僧の関わりは、本研究課題の青海寺院ネットワークの機能と広がりを清朝の政策運用の面から検証するにあたって重要な視角となりうる。 上記問題意識に基づき、雍和宮に集まるチベット仏教人材とその派遣先、それらの運用を管理する駐京高僧や中央チベット政府、清朝政府の間の交渉について調査した。その成果については2022年12月に台湾で行われたシンポジウムですでに発表し、今後論文として公表する予定である。 また、雍和宮など北京に設置された青海系の転生化身高僧のラプランと関連して、18世紀半ば以降に中央チベットに建立されたチベット政府の摂政のラプランについて、初代名代職テモ・ホトクトのラプランとしてのテンギェーリン(広法寺)を例に検討し、成果の一部を論文として発表した。
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Research Products
(3 results)