2018 Fiscal Year Research-status Report
独立直前の西アフリカにおけるリテラシーの社会的位置づけ:ハンパテ・バの活動から
Project/Area Number |
18K12532
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
中尾 世治 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (80800820)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ハンパテ・バ / フランス語圏西アフリカ / イスラーム / アフリカ文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、フランス国立海外公文書館及びマリ国立公文書館において、アマドゥ・ハンパテ・バに関連する史料調査を行った。フランス国立海外公文書館では、ハンパテ・バの所属していたフランス黒アフリカ研究所の年次報告、ハンパテ・バによる雑誌記事などの史料の収集を行った。マリ国立公文書館では、ハンパテ・バによる1950年代の対抗-改革運動に関連する史料調査を行ったが、これについては、セグー管区四半期報告書がほとんど残存しておらず、史料の収集は部分的なものにとどまった。これらの一次資料の収集に加え、ハンパテ・バについて論じた二次文献の収集を行った。これらによって、ハンパテ・バ研究のための基礎的な一次資料及び二次資料をある程度の水準にまで収集することができた。 こうした基礎的な調査に加え、研究成果の発信を研究発表のかたちで行った。 第一に、2018年度アジア・アフリカ言語文化研究所フィールドネット・ラウンジ企画「西アフリカ・イスラーム研究の新展開」を代表者が企画し、ハンパテ・バを含む西アフリカのイスラーム研究の現状を議論する場を設けた。 第二に、 2018年度第3回研究会AA研共同利用・共同研究課題「『プレザンス・アフリケーヌ』研究(2)テキスト・思想・運動」研究会において、「西アフリカにおける文字言語間の競合と『プレザンス・アフリケーヌ』:アマドゥ・ハンパテ・バにおける文字・印刷物/手稿書・転写」と題した発表を行い、西アフリカの文学・思想・政治のコンテクストのなかでのハンパテ・バの位置づけを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フランス国立海外公文書館、マリ国立公文書館での史料調査では、一次資料の収集という点で、一定の成果をあげることができた。他方で、これらの公文書館におさめられている、ハンパテ・バに関連する史料が、それほど多くないことがわかった。 こうした基礎的な調査に加えて、ハンパテ・バのテクストの読解にあたっては、イスラーム思想とその思想の現地語への翻訳という点に着目する新たな視座が得られた。代表者が企画した、2018年度アジア・アフリカ言語文化研究所フィールドネット・ラウンジ企画「西アフリカ・イスラーム研究の新展開」において、西アフリカのイスラーム思想史を専門とする研究者との議論を重ね、それらの議論によって、イスラーム思想の用語をもとのコンテクストから外して論じるというハンパテ・バの独自のテクスト戦略が明らかになりつつある。 これらを統合すると、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
フランス国立海外公文書館、マリ国立公文書館の所蔵する関連資料がそれほど多くないことが明らかになったため、異なる視座での史料収集、あるいは他の公文書館での探査、これまでの調査結果の公表に研究計画を変更して進めていくことを想定している。
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Causes of Carryover |
フランス国立海外公文書館及びマリ国立公文書館におけるハンパテ・バに関連する史料の所蔵が予想したほどではなかったため、これらへの再度の渡航に要する費用を次年度にまわすこととした。
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Research Products
(12 results)