2020 Fiscal Year Research-status Report
A Cultural History of Museums and Modern Conceptions of Art in Late Twentieth Century America
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18K12533
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
小森 真樹 武蔵大学, 人文学部, 専任講師 (70808873)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミュージアム(美術館・博物館) / 文化史 / 医学史 / パブリックヒストリー / 医学芸術 / 制度論 / フィラデルフィア |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度を通じて新型コロナウイルスによるパンデミックに影響され、国内外の移動が制限されたことによって研究計画を大きく変更せざるを得なかった。予定していた国外での文献収集及びフィールドワークは実施が叶わず、これまでに収集したデータの分析と考察に加えて、二次資料文献による研究、また目下のパンデミックに対する社会の反応に関する調査も実施した。
より具体的には、大別して、(1)医学博物館・美術館に関する歴史研究、及び、(2)パブリックヒストリーやデジタル展示論に関する研究を進めた。(1)フィラデルフィアの医学博物館における芸術展事業の事例から、医学博物館においては経営論理・美術理論・展示教育倫理がいかに交差しているのかについて考察した。そこでは歴史的記憶が教育や観光の文化資源として使われてきた経緯があるが、1918年同市で起こったいわゆるスペイン風邪によるパンデミックの記憶が、2020年の新型コロナウイルスのものと合流して記憶が生成される様も確認された。(2)こうした歴史資源を文化芸術として活用した事例に関する研究成果を受けて、本研究は、当初より着眼してきた「博物館」メディアを超えて、「パブリックヒストリー」という視座で広く調査をするという方向に展開した。これには、パンデミック下において関連する活動が活性化したことで新たな調査対象へ着目する必要が生まれたことにも影響されている。
以上の成果は、論文や報告として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和二年度の研究では、パンデミック下での調査制限にもかかわらず、計画面のみならず、対象・主題の点でも方向性を軌道修正したことが功を奏した。昨年度までの研究を基礎としつつも新しい方向へと計画が進み、パンデミックで生まれた現象も研究対象とすることで、過去の成果をより広い視角及び射程で把握し始めている。以上の理由から、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和三年度は、今年度に軌道修正したものを一定の形へと集約することを目指す。渡航制限などパンデミックによる影響に鑑み、当初立てた現地調査を中核とした計画には依らず、今年度に計画延長して拡大した方向性で研究をまとめる。
今年度までの調査で得た結果は、引き続き、学会報告・論文・書籍等の形で研究成果として発表する予定である。パンデミック下に生じた時事性の重要さにも鑑み、査読論文以外での発表手段も検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスのパンデミックによる移動や社会活動の制限によるもの。調査地及び居住地の活動制限に合わせ、当該計画を大幅変更し、終了年度の延長も行った。次年度の実地調査が実施できない場合は、資料購入などの経費に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)