2018 Fiscal Year Research-status Report
Birth of the Parisian Fashion Industry and the Concept of Luxury in the 17th-19th Centuries
Project/Area Number |
18K12541
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
角田 奈歩 東洋大学, 経営学部, 准教授 (10623209)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ファッション / モード / 奢侈 / 半奢侈 / パリ / レース |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は夏に,研究実施計画b.に該当する調査として,パリで調査と2019年度招聘予定の研究者との打ち合わせ,またカレとアランソンでレース業に関する調査を行った。特に,オルヌ県文書館から紹介された現地大学院生Isabelle Ivon氏(カン・ノルマンディ大学)に博物館や文書館の案内をしていただけたことからアランソンでのレース業の調査の成果は非常に大きく,またカレもレース博物館の所蔵品が非常に充実していたため,年度後半は主にレース業について研究を進めた。その成果は口頭発表の1.の通りである。 またパリでは,2019年度の招聘予定をNatacha Coquery教授(リヨン第2大学)と打ち合わせ,また教授から,研究実施計画a.に該当するトポグラフィについてアドヴァイスをいただき,フランスの雑誌への成果投稿を勧められた。フランス語論文にするとなると発表にはかなり時間を要することになるが,より関心の近い研究者に示せる機会となることから,それを目指すこととしたい。 ただしパリの史料調査はあまり進まなかった。というのも,ある程度は予測していたことだが,19世紀前半の史料がほとんどなく,むしろほとんどないということが判明したのが成果であった。これについては他の方策を考える必要がある。 また,初学者向けの内容ではあるが,研究成果の図書1.で「モード」をテーマにした章を執筆した。ここでは奢侈と半奢侈という観点からモードについて考えるという本研究計画全体に関わる内容を,現時点での概括としてまとめた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パリで史料があまり発見できなかった点は,文書館に史料が所蔵されていないというやむを得ない事情によることであり,またアランソンなどでのレース業調査の大きな進展と相殺されるものと考える。 成果発表については今年度の間に形にできたものは少ないが,レースという新しい課題に取り組み,その成果を口頭発表できたことと,未刊行だがすでに奢侈と半奢侈について1編執筆できたことなどから,このように自己評価する。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度は計画通り,海外から研究者を招聘して,奢侈・半奢侈とモードに関するワークショップを開催する予定。また年度内にフランスを中心に史料収集などを行う。これらにより得られた成果を纏めると共に,奢侈・半奢侈の問題について考察を深めつつ,2020年度の課題である「なぜパリか?」を考える準備をしていきたい。 ただし,2020年度に招聘予定だった海外研究者がつい先頃亡くなってしまったため,当初の予定通りの研究活動を行えないことは確定してしまった。招聘については他の候補も考えるが,余人を持って代え難い研究を進められていた氏の急逝により,本計画も含め,諸研究者の活動に障害が生じることが予測される。
|
Causes of Carryover |
書籍等の費用と人件費を計上していたが,内容的に重複がある別予算(分担者となっている基盤Bなど)からの支出で賄えたため,その分は来年度の,時期的に航空券費用などが予定より増える可能性がある招聘旅費などに充てることとした。ただし旅費は航空券などの都合により予定より掛かったため差し引きでこのような残額となった。
|
Research Products
(2 results)