2023 Fiscal Year Annual Research Report
Birth of the Parisian Fashion Industry and the Concept of Luxury in the 17th-19th Centuries
Project/Area Number |
18K12541
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
角田 奈歩 東洋大学, 経営学部, 准教授 (10623209)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | モード / ファッション産業 / パリ / 18世紀 / 19世紀 / 都市史 / 商業史 / レース |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は在外研究のためパリに滞在,ローヌ=アルプ歴史研究所LARHRAに所属し,ヨーロッパでの博物館見学に主に科研費を利用した。またヨーロッパから移転した技術について日本での調査も行った。具体的には以下の通り。科研費からの支出がなかったものも含め,パリでの調査も行っている。 9月,ザンクト・ガレン(スイス),レース博物館,19世紀後半に開発された刺繍用ミシンによるレース業。10月,さいたま市,オリオンレース工業株式会社,20世紀にドイツから輸入された機材での刺繍レース業。和歌山市,島精機フュージョンミュージアム,20世紀日本でのジャカード技術の展開。京都市,西陣織会館,19世紀に輸入されたジャカード機での絹織物生産。11月,リヨン(フランス),イヴェント"Silk in Lyon", Gadagne博物館,Association soierie vivante, Maison des Canuts, Atelier Brochier,リヨン絹織物業の歴史と現状。12月,ノッティンガム(イギリス),ノッティンガム城博物館レース・ギャラリー,世界初のレース工業化技術。ロンドン(イギリス),大英博物館,V&A,各時代の布地や諸技術全般。1月,サン=テティエンヌ(フランス),工芸産業博物館。近世期以降のリボン業。カレ(フランス),レース博物館,19世紀以降のレース業。 以上から,近世期にフランス王国のステープルとして形成された絹,レース,リボンなどの布関係業が,技術的には形を変えつつフランスで現在まで継続してファッション産業を支え,またヨーロッパでは失われた技術が移転先の日本で保存的・発展的に継続していることが理解された。 並行して,パリでの現地調査も加えつつ,19世紀前半パリの手工業・小売業の地理的分布についての成果公表の準備も行った。
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