2019 Fiscal Year Research-status Report
Nasrid society and the Western Mediterranean World in the 15th Century: maritime and terrestrial relationships
Project/Area Number |
18K12542
|
Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
黒田 祐我 神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (50581823)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 地中海 / スペイン / カタルーニャ / 交流史 / マグリブ / グラナダ |
Outline of Annual Research Achievements |
1)中世後期から近世初期にかけての西地中海圏と東地中海圏との接触についての調査 本年度前期は、引き続き最新の文献収集をおこなうと同時に、夏の実地調査計画を立てた。別の枠組みで共同研究を実施しているグループ(中近世地中海世界史グループ)との共同調査として、14世紀から16世紀を中心としてイベリア半島からの傭兵団や亡命者、そしてユダヤ人を受け入れつづけた旧ビザンツ帝国領・旧オスマン帝国領の調査を実施した。具体的には、イスタンブル(トルコ)、スコピエ・ヴェレス・シュティプ・プリレプ・ストルミツァ(北マケドニア)、プリズレン・ペーヤ・プリシュティナ(コソヴォ)の実地調査を行い、その痕跡を調査した。14世紀を中心としてバルカン半島で活動したカタルーニャ・シチリア傭兵団(アルモガーバル)の活動の直接的痕跡は見いだせなかったものの、ユダヤ人移住者に関する貴重な情報を獲得することができた。 2)中世西地中海圏をめぐる研究状況の整理 本テーマに関連する研究は、現在、日進月歩で進んでいる。それらの成果を可能な限り収集し、そのうえで分類することに努める年であった。具体的には、①フランス語を中心とするマグリブ史研究、②旧アラゴン連合王国領(カタルーニャ・バレンシア)とマグリブ・アンダルスとの交渉史研究、③旧カスティーリャ王国領とマグリブ・アンダルスとの交渉史研究、④在イタリア古文書館所蔵史料を用いた地中海研究に分類し、これらの研究の現状と課題についての整理を試みた。 3)西地中海圏研究を進めるにあたっての補足的成果 中世地中海圏でのヒトの移動を分析していくにあたって得られた成果を、同時並行で行っている研究[征服活動(レコンキスタ)の実態分析]に生かすことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度前半においては、本研究は西地中海圏に限定したテーマ設定をしていたが、今年度は東地中海圏をフィールドとする研究者らとの意見交換に成功した。しかしこの共同研究は、これまで明確に見えていなかった「西」と「東」との密接なつながりを再確認するきっかけとなるとともに、いまだ注目されていない東地中海圏に「眠っている」諸史料を調査するという豊饒な可能性についても考えさせられた。 後半においては、再度スペインでの調査を実施し、予定通り研究状況の整理を行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
中世西地中海圏に関する研究文献の収集と研究状況の整理については、達成されている。今後の方針としては、具体的に以下の3点を考えている。
1)中世西地中海圏をめぐる諸交渉に関連する準備論文の公表 2)本テーマをめぐる研究状況整理を扱う動向論文の公表 3)刊行・未刊行史料の双方を用いた専門論文の公表
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が少額発生しているが、額は微々たるものであり、次年度の計画に影響を与えるものではないと考える。
|
Research Products
(3 results)