2020 Fiscal Year Research-status Report
ガンダーラ浮彫画像帯の考古学的検討にもとづく仏教文化の研究
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18K12553
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内記 理 京都大学, 文学研究科, 助教 (90726233)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ガンダーラ / 仏教文化 / 東西交渉史 / 彫刻材質 / 棺形容器 / 舎利容器 / 考古学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はコロナ感染症の蔓延により、計画していたパキスタンへの調査渡航を断念せざるを得なくなり、研究の推進上において大きな痛手をこうむった。また、2020年7月にスペイン・バルセロナで開かれる予定であった国際南アジア考古学・美術史学会と、8月に韓国・ソウルで開かれる予定であった国際仏教学会において、英語による口頭発表が決定していたものの、これらも延期となり、国際的に研究成果を発信し情報を交換する重要な機会が失われた。調査研究活動が著しく制限される中、本年度はこれまでに得た調査資料を用いて、以下の2点についての分析をおこなった。まず1点目は、ガンダーラ地方の寺院内の荘厳にかかわり、彫刻に用いられた材質についての分析である。これまでに寺院間でのみおこなわれていた材質比率による分析を、寺院内で細かにおこなうことにより、各塔院の造営期間の違いを検討することが可能であることを示した。この研究成果については、2020年12月に開催された日本オリエント学会大会において口頭発表し、また、2021年3月に刊行された論集に掲載された。2点目は、ガンダーラと東アジアの仏教文化の間の関係性にかかわり、舎利容器についての調査研究を進めたことである。舎利容器の形態が仏教文化の東漸に従いどのように変化したかを考えるために、中国唐宋代の舎利容器についての分析をおこなった。その研究の成果についての論考も、すでに2021年2月に公刊されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は国際南アジア考古学・美術史学会において、ガンダーラ地方にある1つの仏教寺院址における浮彫画像帯の分析成果を発表し、議論を深め、学術誌に投稿する予定であったが、コロナの影響により学会自体が中止となったため、その機会を得ることができなかった。その意味において、研究の進捗が遅れていることを認めざるを得ない。しかし、本年度できる作業として彫刻の材質比率についての問題を整理したことにより、画像帯が出土する塔院ごとの造営期間の違いがより明瞭に分かるようになった点は、研究を進める上での小さからざる成果と言える。そのため、進捗は遅れているものの研究推進上致命的なものではないと判断し「やや遅れている」区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
パキスタンを初めとする海外への調査渡航や海外研究者との学術交流が困難な中で、自身ができることは、これまでに集めた研究データの整理を通じて研究を推進することである。また、せめて国内での出張がより容易な状態になるようであれば、国内の研究施設に保管される関連資料の調査研究を進めたい。さらに、これを機会に、ガンダーラに端を発する仏教文化の影響が、日本の仏教文化にどれほど及んでいるかについても考えてみたい。
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Causes of Carryover |
コロナの蔓延により計画していた出張が全てキャンセルとなったため次年度使用額が生じた。次年度は最終年度にあたるため、研究成果をまとめる際の費用として用いる予定である。
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