2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study of cultural resource management in Maya area: Conservation of cultural heritage and the regional development through the museum activities.
Project/Area Number |
18K12572
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
五木田 まきは 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 客員研究員 (40806197)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 文化資源マネジメント / 地域博物館 / エコミュージアム / 地域コミュニティ / 住民参加 / パブリック考古学 / マヤ / コパン |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年度である2023(令和5)年度はこれまでの研究成果の成果として、ホンジュラス共和国コパンルイナス市における文化資源マネジメントについての博士論文の執筆を行った。 研究期間を通じて行った文献調査から、文化遺産保全に関する国際戦略において地域コミュニティが担う役割は拡大しつつものの、途上国における考古学遺跡などを対象とした文化遺産マネジメントの実践は、その多くが専門家が住民へ知識を教授するという一方向的なものであり、それらのプロジェクトにおいて地域コミュニティの関与は限定的・一時的なものにとどまっていることを明らかにした。また、本研究の対象地であるコパンルイナス市においては、そうした課題に加えてCOVID-19パンデミックの影響による博物館の長期閉鎖、政治の不安定さなどの問題に直面していることを明らかにした。 また、現地調査に基づき、コパンルイナス市の文化資源マネジメントの課題と特性を明らかにした。地域住民への聞き取り調査からは、考古学公園への偏重傾向、博物館展示の固定化、学校と博物館の連携不足、地域住民による博物館の再訪問率の低さという課題を明らかにした。教員へのアンケートからは市内の他3館と比べデジタル博物館の教育的利用意向が高い結果を示しており、デジタル博物館の学校連携への対応可能性を指摘した。さらに博物館スタッフたちが自発的に行っている展示解説を通じて、解説のために新たな知識を自分で学び、遺跡や博物館、コミュニティへのプラスの意識変容が生じていることを明らかにし、博物館活動を通じて自己教育力の形成が図られていることを明らかにした。こうした特性から、デジタル博物館の地域博物館としての可能性を指摘し、国内外における先行事例を検証したうえで、その具体的な活動形態としてエコミュージアム構想を提示した。
|