2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K12574
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
小室 隆 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 専任研究員 (40782561)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 環境DNA / 車軸藻類 / 宍道湖 / 堆積物 / 湖沼堆積物 / 水草 / 歴史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は宍道湖の湖沼堆積物から,水生植物のDNAを抽出することで過去からの水生植物,なかでもかつて宍道湖における優占種であったと考えられる車軸藻類を主とした水草の変遷を明らかにすることを目的としている。計画当初に予定していた令和2年度の目標は,解析の精度に影響しない堆積物の最小試料量,試料の保存方法,運搬方法を検討し.堆積物DNA解析のメソッド開発まで行い,DNA抽出解析プロトコルの構築である。 平成30年度の調査により,宍道湖の湖心部2地点で採泥した堆積物からエタノール沈殿法と市販の堆積物からのDNA抽出キットを用いて,堆積物に含まれるDNAを抽出した。抽出DNAに対して,シャジクモ(Chara braunii)のプライマー・プローブを用いてpcrにより増幅をおこない,電気泳動にて僅かではあるがC. brauniを確認した。しかし,確実に堆積物中にC.brauniiのDNAが含まれていたかを断定するには極めて少ない増幅であった。 前年度の結果を受け,平成31年度(令和元年)では,柱状堆積物の採取地点数を9地点において柱状堆積物を30~40cm採取し,2cmごとに切り出し,そこから抽出を行った。今年度は柱状堆積物を湖心の2地点から採取し,抽出DNAの分析については,同じく堆積物からのeDNAの抽出解析を行っている専門家に回収量の多い,抽出方法について提案していただき,それを元に抽出を行った.その結果,これまで行ってきた,エタノール沈殿法,市販の抽出試薬を用いた方法に比べ,効率的にDNAを抽出できた.抽出したDNAとC.bruniiのプライマーとプローブを使用し,PCRでの増幅を確認した.しかし,新型コロナウイルスの影響により,全てのサンプルの解析ができておらず,まあテレワークが主体となり実験が思うように進行していないため,1年の延長を申請した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響で,テレワークが主体となり,思うように実験と調査できなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
堆積物からeDNAの抽出を行っている専門家にも相談の上,これまでに採取した堆積物から抽出を行っていく.また,宍道湖ではかつて4種の車軸藻類が確認されており中でもオウシャジクモが優占種と考えられているため,オウシャジクモのプライマー・プローブを設計して,解析を行っていく.
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Causes of Carryover |
研究期間を1年延長するために,使用額を全額使用しなかったため.
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