2019 Fiscal Year Research-status Report
放牧地における「景観の分断化」に関する地理学的研究
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18K12575
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
手代木 功基 摂南大学, 外国語学部, 講師 (10635080)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 景観 / 放牧地 / 分断 / ナミビア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地球上に広く分布しながらも開発から取り残されてきた放牧地における、土地の私有化・囲い込みや保護区の設置、土地利用の変化等によって進展する「景観の分断化」の実態を解明することを目的としている。景観の分断化が進む放牧地において、牧畜民の放牧システム、そして放牧を支える基盤である自然環境の変化について実証的に分析することを通して、景観の分断化によって変化している放牧地における「人ー家畜ー自然環境の関係性」を総合的に解明してい く。 2019年度は、ナミビアにおける現地調査を実施するとともに、関連資料を収集しレビューを実施した。 その結果、ナミビアでは、牧畜民にとって景観の多様性(不均一性)が不確実な自然資源利用の担保となってきた点を実証的に明らかにすることができた。一方でこれまで放牧地となってきた場所が、近年私有化にともなって景観が変容し、土地利用形態が変化していることが明らかになった。これらの変化は、結果的に家畜の多様な景観(=さまざまな採食資源)へのアクセスを減少させ、放牧地に依存して暮らす牧畜民に負の影響をもたらしていると示唆される。 今後は、昨年度実施したモンゴル及びケニアにおけるフィールドワークの結果との比較を通じて放牧地における景観の分断化に関する知見を蓄積し、成果をまとめていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査対象地として、当初モンゴル、ナミビア、ケニアを想定していたが、ナミビアとモンゴルの2地域に絞って研究を進展した方が当初の目的を達成できると考え、計画を変更した。結果として、現地調査や文献の取得も順調に実施することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は新型コロナウイルスの混乱にともない、現地調査が難しくなる可能性が高い。本研究は現地調査を最も重要な手法と位置づけているため、場合によっては研究を延長して実施することも検討するなど柔軟に対応する予定である。
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Causes of Carryover |
他研究との兼ね合いで蒙古における現地調査を実施することができなかったため次年度使用額が生じた。そのため次年度以降に現地調査を実施することで使用する計画である。
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