2018 Fiscal Year Research-status Report
珪藻殻の現地性程度を指標とした法科学的な土壌試料の検査法の開発
Project/Area Number |
18K12578
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
組坂 健人 科学警察研究所, 法科学第三部, 研究員 (40801577)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 珪藻分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
茨城県土浦市恋瀬川河口周辺で現地調査を行い,水試料7点および道路堆積物試料2点を採取した.試料は30%の過酸化水素水で有機物分解を行い,カバーガラス上に滴下・乾燥後にマウントメディアを用いてプレパラートを作製した.珪藻分析では,出現した珪藻種を光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡を用いて同定し,1試料あたり約300殻を計数した.計数に際しては,完形の殻,破片の殻(60%以上),破片の殻(60%以下)に分類し,完形の殻および破片の殻の数の和が300殻となるまで計数し,60%以下の殻は300殻を計数するまでに出現した個数とした. 出現した珪藻種について,Round et al. (1990)の属の記載に基づき,浮遊性種,一時浮遊性および着生に分類した.水試料中の珪藻群集については,河川から離れた地点の試料では50~70%程が浮遊性種であり,その多くはAulacoseira ambiguaであった.道路堆積物試料については,90%程度が着生種であり,約70~80%がNitzschia dissipataであった. Aul. ambiguaについて,地点毎に破片化率(破片の殻(60%以上)/完形の殻)を比較したところ,多産する地点においては約10%である一方,出現頻度が約20%の2地点では,6%および20%であった.また,着生種として多産したNit. dissipataにおいても同様に,多産した道路堆積物試料中の破片化率は約10%であり,出現頻度が約10%程度の試料での破片化率は10%から約60%までの範囲であった. 現生試料においては,珪藻種の生息地点周辺では出現頻度が高く,現地性の高い殻が多く出現したため,破片化率が小さい値を示したと考えられる.また,科学捜査における土壌の比較検査においては,従来では群集組成を主としたものであったが,新たに破片化率が有用である可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度導入予定であった試料前処理装置であるオスミウムコーターの導入が遅れたため.
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Strategy for Future Research Activity |
必要資機材においては手続きを実行中である.現在採取した試料においては,研究計画時に想定していた単縦溝類の珪藻種の出現頻度が少なかったため,より広域にわたる試料採取を実行し,両殻共存率の検討を進める.
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Causes of Carryover |
初年度に導入予定のオスミウムコーターの取得が遅れ,次年度に導入する予定となったため.
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