2022 Fiscal Year Research-status Report
珪藻殻の現地性程度を指標とした法科学的な土壌試料の検査法の開発
Project/Area Number |
18K12578
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
組坂 健人 科学警察研究所, 法科学第三部, 研究員 (40801577)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 珪藻殻 / 現地性 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで,茨城県北浦における珪藻殻の運搬・堆積過程を推定することを目的として,珪藻殻の破片化率および両殻共存率を明らかにした.本年度は,湖底堆積物の砕屑物と珪藻殻の関連を調べる目的で粒度分析を実施した.分析試料は,2014年および2021年の現地調査で採取された湖底表層堆積物を用いた.試料は炭酸塩除去,有機物分解および生物源シリカ除去を行い,ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液で分散させた懸濁液をレーザー回折式粒度分布測定計で分析した. 粒度分析の結果,湖底表層堆積物の粒度分布は多峰性を示し,河川および湖岸付近の地点では平均粒径が増加した.また,砕屑物の淘汰度を反映する分散係数は平均粒径が増加する地点で減少した.このことから,流入河川及び巴川河口では粗粒な堆積物が供給され,その割合は沿岸域に比べて多いと考えられた.X線回折による分析の結果,湖全体に石英および長石類が堆積していることが明らかとなっており,流入河川付近では角閃石類および長石類の増加が示唆されている.また,元素分析の結果から,流入河川付近の地点では鉄,チタン,カルシウムが増加した.つまり,砕屑物の組成が湖盆と河川・湖岸付近で異なり,砕屑物が河川・湖岸から供給されていることが示唆された. 砕屑物分析の結果から,付着性の珪藻殻が砕屑物と同様に河川や湖岸,周辺の植生帯から流入したと考えた.つまり,巴川付近で多産するPlanothidium lanceolatumおよび植物付着性であるCocconeis placentulaは河川および湖岸付近の地点で現地性の高い遺骸が堆積し,沿岸域の地点では現地性の低い遺骸が堆積した.このことは,2種の分類群の両殻共存率および破片化率と整合的であった.また,Cocconeis placentulaの両殻共存率の変動パターンは現地性の高い遺骸に対して鋭敏であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究論文の作成および投稿が遅れているため.
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Strategy for Future Research Activity |
現在執筆中の研究論文の早期投稿および受理を目指す.また,粒度分析の統計解析により砕屑物の特性を把握する.
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Causes of Carryover |
研究論文の作成が遅れたため,次年度に投稿に係る経費に使用する予定である.
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