2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K12579
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鈴木 允 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (70784651)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 近代 / 寄留 / 工業化 / 都市化 / 人口移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、愛知県東加茂郡賀茂村に加え、西加茂郡石野村も対象地域に含め、出寄留の実態について、寄留者の職業や縁故先などに着目してより詳細に分析し、既存の社会学等の研究成果を踏まえた考察を進めた。また、研究成果を意味付けるために、時代的、地域的な文脈の中に位置付けることを重視した。 既存の研究において、特に注目されてきた都市部への移動者は、いわゆる女工である。本研究対象地域において、女工としての寄留者を追跡すると、12~15歳ほどで工場に出て、2~5年程度、寄宿舎で寄留している者が多かった。近代化に伴う女工としての就労の一般化が,結婚年齢の上昇などに影響した可能性が考えられた。 女工以外では、「工場職工」・「会社員」などの形で大資本に雇われる者は少数で、何かしらの職人や商人など、個人で一つの職を手にしている場合がほとんどであった。また、縁故者の元へ寄留する無業の者も多く見られたことから、都市部での生活基盤を獲得できた寄留者が都市で世帯を形成し,都市に定着していったことが考えられた。 このように、寄留者の属性や職業を分析することで、当時の都市へ向かう人口移動のより具体的・動態的なメカニズムを検討することが可能となった。 得られた知見を時間軸・空間軸の中に位置付けて解釈し、地域性や時代性を分析した成果は、『豊田市史 近代資料編Ⅲ』及び『同 近代通史編』の担当章としてまとめられた。地域史の中に寄留者の動向から見た人口移動を位置づけることで、より動態的な地域変化を描くことに貢献し得る成果と捉えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の通り、分析結果を『豊田市史』の一部に収める成果はあげられたものの、新型コロナウイルスの影響によって、学会等での意見交換、追加現地調査の機会を満足に得られなかった。結果として、分析の積み増し、考察が十分に進められず、得られた知見を学術的な成果として発信する機会が少なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
『豊田市史』の研究としては一定の区切りがついたため、手持ちのデータの補足等、ブラッシュアップを進め、その再検討を行うとともに、得られた知見を学術研究の成果として発信していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、学会や研究調査のための旅費、調査にかかる費用がほとんど発生しなかったため。
次年度は、限られた条件下ではあるが、現地調査や学会・研究会に参加するとともに、データの入力・整理のための人件費・物品費、研究に関わる文献・資料等の購入で使用する予定である。
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