2018 Fiscal Year Research-status Report
Electoral geographies of gentrification in urban ethnic neighbourhoods
Project/Area Number |
18K12582
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
高橋 昂輝 香川大学, 経済学部, 准教授 (40806345)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | カナダ / トロント市 / 移民 / エスニック集団 / 選挙 / ジェントリフィケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,カナダ・トロント市における近年の都市変容が移民地区に与える影響を,選挙に焦点を当てて明らかにすることである。2018年度は,7月以降,オンタリオ州の首相で進歩保守党党首のD.フォードにより,10月に控えたトロント市議会議員選挙への介入が起こった。この結果,トロント選挙区界検討委員会(Toronto Ward Boundary Review)が推奨してきた47区47議席での実施案から,選挙直前において,25区25議席へと区割りと議席数が変更された。本年度は,こうした州政府・市政府間での市議会議員選挙を巡る予期せぬ出来事に関して,ニュース記事や裁判結果などを中心に分析をおこなった。9月に和歌山大学で催された,2018年日本地理学会秋季学術大会(都市地理学研究グループ)において,この成果を報告した。 10月末の選挙期間中には,トロント市内でフィールドワークを実施した。地元の有力新聞とエスニック新聞にくわえ,候補者の選挙フライヤーなどを収集した。また,トロント市当局者などへのインタヴューも遂行した。2014年までトロント市議会議員を務め,同年の市長選で敗れたD.フォードにとって,トロント市政への介入は,個人的な政敵への恨みを晴らすとともに,市議会から革新系議員を減らす試みであったともいわれる。これに対し,市中心部に多い革新系候補者は,立候補区および立候補宣言の時期を調整するなどし,結束して対応したことがわかった。また,トロント市中心西部のポルトガル系移民地区から選出される現職議員は,全体の80%以上の得票を得て,圧勝で三選を果たした。2019年度においては,当初の研究計画に沿い,GISによる小地域分析とトロント市公文書館での資料収集を実施し,研究目的の達成を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年7月,オンタリオ州首相D.フォードにより,トロント市議会議員選挙への介入が起こった。この結果,トロント選挙区界検討委員会が推奨してきた47区47議席での実施案から,選挙直前に突如として,25区25議席に区割りと議席数が変更された。本年度は,こうした市議会議員選挙を巡る予期せぬ出来事に分析の時間を費やさざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の2年目に当たる2019年度は,1年目に着手できなかった国勢調査データをもとにしたGISによる地図化にくわえ,トロント市公文書館などでの文献資料の収集を通じ,トロント市におけるジェントリフィケーションの動向と移民地区の選挙戦を歴史的に整理・検討する。選挙区割りと議席数の大きな変更がおこなわれる以前の前回(2014年)の市議会議員選挙までを中心に分析を進める。
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Causes of Carryover |
研究費の前倒し使用を申請した時点では.冬期にフィールドワークを実施する予定であったが,その後,追加で文献の購入が必要となった。前倒し分の研究費から文献購入費などを差し引くと,旅費として使用するには金額的に少なく,次年度使用額に充てるのが適当であると判断した。
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[Book] 離島研究VI2018
Author(s)
須山 聡、宮内 久光、助重 雄久、平岡 昭利
Total Pages
208
Publisher
海青社
ISBN
9784860993344