2022 Fiscal Year Annual Research Report
Geographical studies on the restructuring of farmland use governance through the expansion of regional farming groups
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18K12583
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
庄子 元 岩手大学, 教育学部, 准教授 (90774696)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地域営農組織 / 農地利用 / ガバナンス / 水田経営 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究は、岐阜県多治見市における地域営農組織の展開と、地域営農組織への農地集積のメカニズムという内容で実施した。 事例地域としたのは多治見市の中山間地域の集落である。当該集落は地形や土壌の条件から農業の生産性が低いことに加え、名古屋都市圏の郊外という位置関係から農外就業の機会に恵まれていたことで、早くから離農が進み、耕作放棄地が拡大していた。こうした状況から当該集落で農業の経済的な役割は小さい。そのため、1998年に設立された地域営農組織は、生活空間である農地の保全が目的であった。生活空間の保全が目的であるため、この組織は農作業の効率性や農業経営の収益性から利用する農地の選別を行っていない。 当該組織の展開を可能としている基盤は二つある。第一に農作業の従事者の確保であり、集落における高齢者が低賃金で農作業に従事している。高齢者による農作業従事が成り立っている背景には、農作業の空間が集落におけるコミュニティの場となっていること、高齢であるために地域の労働市場で吸収されていないことの二点が挙げられる。第二に、事例地域では農業の経済性から合意形成を図ることが困難であり、農地所有者の意見を調整するためには、コミュニティとしての合意形成が必要である。そのため、当該組織と集落の自治組織の役員は重複している。したがって、当該集落における農地利用のガバナンスは、集落におけるコミュニティガバナンスと不可分である。 研究期間を通じた成果を概観すれば、前年度までの研究成果である東北地方や北陸地方の事例では、農地利用のガバナンスが農業・農地の経済的側面を重視して成立していた一方、両地方より農業の経済的役割が縮小している多治見市では農村における生活や集落のコミュニティという側面から農地利用のガバナンスが成立しているといえる。
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Research Products
(3 results)