2018 Fiscal Year Research-status Report
地域資源の持続的管理を支える諸資本間の関係に関する地理学的研究
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18K12587
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
寺床 幸雄 長崎県立大学, 地域創造学部, 講師 (90757767)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 農村 / 農業 / 地域資源 / 社会関係資本 / 関係論 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、調査対象地域の位置づけを明確にするための予備的資料収集と、いくつかの地域での現地調査を行った。 資料収集では、総務省統計図書館および国立国会図書館において、国勢調査調査区別集計のデータと関連資料を収集した。また、1970年農業集落カードなどのデータ項目を確認し、現在の農村部の社会的状況をとらえるための基礎資料として活用する可能性を検討した。さらに、国勢調査小地域統計と農業集落カードの調査結果の関連付けによって両者の比較分析を行うための準備を進めた。 現地調査では、熊本県および福岡県の山間部において、地域資源を活用した地域活性化活動を行っている集落での活動の観察および聞き取りを行った。観察と聞き取りでは、地域内における諸資本(人的資本、経済資本、社会関係資本など)の間の関係性をとらえるために、地域資源管理において重要な役割を果たしている社会関係の把握に努めた。具体的には、地域活動の中心を担う団体のメンバーへの聞き取りや土地利用の観察、地域資源の管理主体の把握などを進めた。また、地域の活動において参加型観察を行い、活動内での役割分担を地域の文脈の中で把握する作業を行った。 研究成果の公表では、9月に福岡で行われた世界社会科学フォーラムにおいて、中山間地域の地域資源を活用した活性化活動の展開を事例とした研究成果の一部を報告し、human security(人間の安全保障)との関連から議論を行った。さらに、他の研究者と今後の研究の深化のための意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査を行う地域に関する小地域統計の収集を進めることで、今後の具体的調査を位置づけるための基盤を整えることができた。また、いくつかの地域で聞き取りを行うことで、翌年度以降のさらに詳細な調査のための準備を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度に現地調査を行った地域を中心に、具体的な個別農家への聞き取りや土地利用の変遷の把握、地域活動の実施における現状と課題の把握を進める予定である。
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Causes of Carryover |
予備的資料収集などに予定以上に時間を割いたことや、研究用機材の購入を見送ったため、次年度使用額が生じた。2019年度には現地調査とデータ分析を本格化させるため、調査用機材やデータ整理のための物品などの購入が生じる予定であり、調査用の旅費の支出も増える可能性がある。今回生じた次年度使用額については2019年度の当初の予定分とあわせて執行を進めていく予定である。
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