2021 Fiscal Year Research-status Report
地域資源の持続的管理を支える諸資本間の関係に関する地理学的研究
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18K12587
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
寺床 幸雄 立命館大学, 文学部, 准教授 (90757767)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 農業 / 農村 / 地域資源 / 社会関係資本 / 関係論 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も昨年までに引き続き、農山村における地域調査の結果に基づく実証的検討と、文献レビューによる理論的検討を進めた。 実証的検討では、新型コロナウイルスの影響もあって昨年度と同様十分な調査を実施できなかったが、これまでの現地調査で集めた情報の再検討などもふまえ、考察を進めた。研究成果の一部は、人文地理学会第293回特別例会(オンライン開催)にて「関係論的視点からみた長崎の村落地域の再編と新たな展開」というタイトルで報告し、他の研究者から助言や指摘を受けた。関係論的視点から農村における産業や生活をとらえ直すことで、地域性、表象、実践の関係から農村を理解できる可能性がある一方、既存の議論との接続や方法論の援用の妥当性などについて十分に検討を重ねる必要がある。 方法論的検討では、国内の研究動向の整理に加え、英語圏の関係論的農村地理学に関する文献、論文を収集し、日本の状況に引きつけてとらえるための検討を行った。人の移動や地域間の人々の関係が変容するなかにあって、既存の社会関係に関する分析枠組みを再検討する必要があるため、今後も継続して文献の収集と理論的整理を進める。 このほか、農山村の地域調査を行う際に、現地調査を補完する情報を得るためのオンラインでの地域分析の方法についても検討を進めた。特に、農業集落カードや国勢調査小地域統計については、地域によってその対応関係に地域的差異があるため、そうした状況を考慮したうえで地域の実態理解を進めるための方法を継続して検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症対策の影響で予定していた現地調査が実施できず、今年度中に実証研究をふまえた研究成果をまとめることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に比べれば状況の見通しがついてきたものの、本格的な農山村の地域調査はまだ難しい状況にある。実証的な検討を行うための計画を再構成しつつ、理論的検討をあわせて進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で現地調査を計画通り実施することができなかったため、一部の調査を来年度以降に実施することとした。現地調査については延期分を次年度内に実施し、資料収集による方法論的検討とあわせて成果のまとめを行う。
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