2022 Fiscal Year Annual Research Report
Geographical study on the relationships among several types of capitals for sustainable management of local resources
Project/Area Number |
18K12587
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
寺床 幸雄 立命館大学, 文学部, 准教授 (90757767)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 農業 / 農村 / 地域資源 / 社会関係資本 / 関係論 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度に引き続きフィールドワークと文献収集による理論研究を進めた。フィールドワークでは、農山村の歴史的な地域資料の収集および聞き取り調査を実施した。とくに、農山村の地域資源管理の単位となる地域組織について、その空間的範囲の歴史的背景について検討した。現在の地域組織における実質的な共同作業などの単位と、行政的な地域区分との重層性が、近代化以前の地域社会の空間的組織化の影響を残していることを確認した。近年では人口減少による社会関係の再編が生じており、地域資源管理においてそうした歴史性と現在の状況を加味した体制の構築が必要であるといえる。 研究期間全体を通して、地域資源の持続的管理のためにローカルなスケールで構築された社会関係を基盤とした諸資本の相互作用について検討した。まず、農業集落カードおよび小地域統計を用いた検討により、農山村の人口動態および農業の変容をミクロレベルで把握した。それらに基づき、実際の農山村の事例についてフィールドワークおよび史資料の収集により分析を進めた。農地や水路、共同のインフラ設備といった地域資源は、地域の歴史的背景を基礎とする社会関係により管理・維持されている。こうした管理実態は、近年の人口減少や高齢化といった社会変化の影響を受けている点では、多くの農山村の集落で共通していた。しかし、地域の歴史的・文化的資源を再評価し、それらの保存・活用を行っている地域では、新たな関係性の構築と、それに対応した知識の蓄積が進んでいた。農村のロカリティの変容、農村の表象、農村の生きられた経験という三つの側面から総合的にみることで、こうした実態を方法論的議論とのかかわりでとらえ直すことが可能となった。
|