2018 Fiscal Year Research-status Report
「大規模投資」にともなうアフリカの都市-農村関係の変容
Project/Area Number |
18K12588
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Research Institution | Hiroshima Jogakuin University |
Principal Investigator |
伊藤 千尋 広島女学院大学, 人間生活学部, 講師 (00609662)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 都市-農村関係 / アフリカ / グローバル化 / 大規模投資 / ザンビア |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、グローバル化が深化するアフリカ都市・農村双方において、不動産開発や農地取得など、大規模な投資をともなう開発プロジェクト(以下、「大規模投資」)が増加している。本研究では、「大規模投資」が進行するザンビアにおける人口移動の動態や資本・情報のネットワークを明らかにすることを通じて、「大規模投資」が都市-農村関係に与える影響を考察することを目的としている。 初年度にあたる平成30年度は、関連する文献のレビューおよび現地調査を実施した。まず都市人口の動態について同国が実施している統計調査から分析した。1990年代の構造調整計画の実施により、ルサカをはじめとした大都市への人口流入は低迷していたが、2000-2010年の間の年平均都市人口増加率は4.2%と再び高まっていた。特に首都ルサカは4.9%と平均よりも高く、2010年センサスでの人口は170万人を超えていた。これは総人口の約10%にあたる人口であり、大都市への集中が起こっていることが伺えた。また、首都ルサカの都市計画の変遷と現在のマスタープランを分析し、現在の都市計画における課題として住宅問題やインフラ整備が重要視されていることが明らかになった。 現地調査では南部州の地方都市の都市化について行政や市場での聞き取り調査を実施した。結果として、大都市からも経済機会を見込んで移動してくる者が存在することが明らかになった。今後はこれらの人口動態と大規模投資との関係について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、関連する成果の執筆に多くの時間を費やした。そのため、現地でのフィールドワークの期間が計画よりも少なくなり、首都での調査許可や統計局での詳細データの入手に関する調整などがあまり進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、統計局での交渉を行い、調査区単位での人口データおよび地理情報データを入手する予定である。これにより全国レベルでの人口動態を詳細なスケールで定量的に示したい。また、今年度の繰越金を用いて、UAV機器を購入し、都市の土地利用変化を定量的に把握する。同時に、ザンビア以外のアフリカ諸国における大規模投資の影響に関する文献レビューを進める。
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Causes of Carryover |
今年度は調査が計画通りには進まなかったため資料代やデータ購入に関する予算に未使用分が生じた。この繰越金を活用し、次年度はUAV機器を購入し、都市における土地利用の定量的な解析を計画している。
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