2019 Fiscal Year Research-status Report
An ethnographic study of rural development: state, NGO and farmer relationship in post-conflict Cambodia
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18K12590
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
秋保 さやか 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (40797164)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 開発 / 国家 / NGO / 農民 / カンボジア / グローバルな農民ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、内戦終結以降のカンボジア農村開発をめぐる国家・NGO・農民の関係性を人類学的調査によって明らかにするとともに、三者関係を捉えるための新たな理論的モデルを提示することである。 具体的な課題としては、次の3点が挙げられる。(1)グローバルな開発アジェンダとカンボジア国内における農村開発、(2)国境を越えた紡がれるグローバルな農民のネットワークと連帯、(3)国家・NGO・農民関係の理論的研究である。 以上の目的を達成し、課題を明らかにするために、2019年度は(1)経済人類学、政治人類学を中心とした文献研究の実施、(2)前年度に実施した予備調査のデータの整理と検討ならびに現地調査の実施、(3)国内外の学会での口頭発表といった計画を立て研究を遂行した。 現地調査については、これまでフィールドワークを継続してきたタカエウ州の2つの集落と首都プノンペンにおいて、文献収集ならびに農民、NGO、政府行政官、王立プノンペン大学のクメール人研究者に対するインタビュー調査、および開発プロジェクトの参与観察を行った。 また、これまでの調査結果と今年度新たに得られたデータをもとに、国内外の学会(The Society for Applied Anthropology、Society for East Asian Anthropology、九州人類学研究会)にて口頭発表を行うとともに、論文として成果を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に沿って、研究はおおむね順調に進展している。研究枠組みに関する文献研究に加え、現地調査では内戦直後1990年代の人々の開発経験と復興の歴史について、幅広い社会的属性、背景をもつ人々に聞き取りを実施することができた。また、2019年は4年に1度カンボジア政府によって作成される国家戦略開発計画(2019年~2023年)が公表された年であったため、政府が発行する公的文書や統計資料を収集するとともに、行政官へのインタビューも行い、国家レベルの開発政策に関する情報収集ができた。これらの現地調査の整理、分析と補足調査と並行して、論文や口頭報告で成果の公表を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、現地調査を継続し実施するとともに、これまで実施したフィールドワークのデータ整理と分析、ならびに分析視点の構築をするための理論研究を中心に行う予定である。今年度は、調査期間が限られていたこともあり、NGOとクメール農民のグローバルなネットワークに関する聞き取りが十分に行うことができなかった。最終年度は、以上の点に焦点をあてた補足調査を進めつつ、学会や研究会で成果を公表し、広く助言を仰ぎ研究に反映させていく予定である。
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Causes of Carryover |
3月17日~21日にアメリカニューメキシコ州にて開催が予定されていたアメリカ応用人類学会(Society for Applied Anthropology)にて、2019年度までの研究成果をもとづく学会報告を行う予定だった。 しかし、COVID-19の影響により、現地での開催はキャンセルになり、Virtual Meetingへと変更になった。そのため、学会参加のために確保していた渡航費の支出も必要がなくなり、予算(229,039円分)を令和2年度に繰り越すこととなった。繰り越しされる予算は、今年度実施予定の現地調査と学会報告のための渡航費に充当する予定である。
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