2019 Fiscal Year Research-status Report
Modes of Diversity in Japan: Russian-speaking Migrants and their Material Culture
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18K12591
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
Golovina Ksenia 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任准教授 (30749156)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 在日ロシア語圏移住者 / 移住者の物質文化 / コミュニティ形成 / マテリアリティ / 物質的所有物 / DIY / アート / モノの主体性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、移住者の物質文化やそれに伴う実践がもつ意味を探求し、移住者コミュニティの形成過程及びホスト国(日本)への影響を辿ることである。2018年度に集めた「住宅・インテリア」についてのデータの考察を行い、ライフサイクル・トランスナショナルな関係・モラリティという観点からの理論化を進めている。また、「住宅・インテリア」をアフェクト理論からアプローチした論文を2019年度にAsian Anthropologyで公表した。2019年度は、「白系ロシア人」の 子孫を含めて在日(関東中心)ロシア語圏移住者に対し、「所有物」やDIY、アートをテーマに住宅訪問・作業室訪問・インタビュー・写真撮影を行った。インタビューの方法として、ライフヒストリーアプローチ及びオブジェクトベースド手法を採用した。DIYやアートに関しては特に水彩ペインティング、人形作り、服作りなどを行う対象者へのインタビュー・活動の参与観察ができた。ロシア系移民の墓の清掃・保護という在日ロシア語圏移住者による取り組みについても引き続き参与観察を行なった。その関係で、東京都と神奈川県、また長崎県にてロシア系移民の墓のある墓地を調査した。マテリアリティをテーマに国内で研究コラボレーションを行っており、2020年1月に関連の研究会で発表した。また、移住者コミュニティの形成過程及び日本の多文化化・多言語化という観点から、在日ロシア語圏移住者コミュニティの成り立ちやそれにおけるロシア語の役割について論文を公表したほか、様々な国々(ヨーロッパ中心)で在日ロシア語圏移住者コミュニティを研究対象としている海外の研究者と交流をした。(交流の結果として、BASEES・2020でパネル[パネルプロポーザル採用済み]に参加する予定だったが、新型コロナウィルスのため延期となり、引き続きコラボレーションを行っている。)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インタビューおよび参与観察が順調に進んでおり、調査範囲が予定以上に広がっている。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目と2年目は在日ロシア語圏移住者を対象に「住宅・インテリア」と「所有物」をテーマに高度なデータを得ることができ、3年目は、個人インタビューのテーマは「服」とし、引き続き調査を行う。 また、ロシア系移民の墓の清掃・保護の活動についても、引き続き参与観察を行う予定である。さらに、これまでにも2011年の東日本大震災が在日移住者コミュニティの構成と活動に影響を及ぼしたように、新型コロナウイルスによる在日ロシア語圏移住者コミュニティに対する影響も追跡する。
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Causes of Carryover |
理由:2020年のはじめに行ったインタビューのテープ起こしをまだ発注していなかったため。 使用計画:2020年度のインタビューデータとともにまとめてテープ起こしを依頼する予定。
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