2021 Fiscal Year Research-status Report
苦悩に対処する社会装置としての儀礼に関する人類学的研究:エチオピアの事例から
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18K12592
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
松波 康男 明治学院大学, 社会学部, 准教授 (90811125)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イスラーム聖者 / 精霊信仰 / ベニシャングル・グムズ州 / オロミア州 / エチオピア / 土地取引 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題における本年度のおもな実績として右1-3があげられる:1. (査読付きプロシーディング) 'Where Muslim Spirits Possess Christian Mediums: The Hadra Meeting in Boset, Ethiopia', "ASC-TUFS Working Papers Volume 2" (2022) pp.261-274。2.(学会発表)「エチオピアの国内投資家による土地取引と民族間関係 ―ベニシャングル・グムズ州の「農業開発」と排斥運動―」, 日本アフリカ学会第58回学術大会, 2021/05。3.(国際シンポジウムでの発表)'Where Muslim Spirits Possess Christian Mediums: the Hadra Meeting in Boset, Ethiopia', ASC-TUFS 5th Anniversary International Symposium, 2022/03。 上1, 3に関しては、エチオピア・オロミア州東ショア地区のオロモのコミュニティで盛んにみられる、もともとはイスラム教に由来するハドラ集会に多くのキリスト教徒が参加していることを報告しつつ、これとエスニシティや地方史との関連について議論した。また、2に関しては、エチオピア・ベニシャングル・グムズ州にみられる土地収奪について、同国の資産家たちの関与に注目し、それが内政やエスニシティとどのように関わるかを議論した。なお、この発表のおもなデータは、2019年12月18日から2020年1月6日まで同地で行った現地調査で収集した。いずれの発表機会においても今後の研究をすすめるための建設的なコメントがもらうことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当科研の申請時には、本年度はエチオピアに渡航しフィールドワークを行う計画であったが、新型コロナウィルスの世界的な感染拡大により渡航を伴う長期の海外フィールドワークを断念せざるえない状況に陥った。年度を通じて感染が収束する見込みが立たなかったことから、研究計画全体の再考が必要になった。このような状況で、過去のフィールドノートを整理し直したり、文字起こしやデータベース化が終わっていない映像・音声資料の整理に着手するなかであらたな発見も得られるなど、当初の計画とは異なる仕方で研究を進められたものの、現地調査ができなくなったことから「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの世界的な感染拡大により、渡航を伴う長期の海外フィールドワークを断念せざるえない状況となったことで当初の研究計画の見直しが必要となり、2023年度まで本科研を延長することとした。今年度、安全にフィールドワークが行える見通しが立つ場合には、短期間になろうともエチオピア・オロミア州でフィールドワークを実施しデータ収集を行いたい。また、研究成果については国際学会で発表の機会を持つ予定である。
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Causes of Carryover |
現地でのフィールドワークを予定していたものの、新型コロナ・ウイルス感染拡大の影響から実施できなかったため次年度使用額が生じた。次年度は、エチオピアに渡航しアディスアベバやアダマなどで参与観察調査を実施する計画であり、調査費としてこれを使用する計画である。
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