2021 Fiscal Year Research-status Report
Anthropological Study of Archive and Community: A Case of Holocaust Museum in Israel
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18K12596
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇田川 彩 東京大学, 大学院総合文化研究科, 学術研究員 (20814031)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウィルス感染拡大のため、当初の目的において、イスラエルでの現地調査を主要な研究方法として想定していた部分に関する計画はまったく進まな かった。以下の通り、文献調査を中心として進めた。 ①ホロコーストに関しては、Jeffrey Shandler “Holocaust Memory in the Digital Age” 等を参照しつつ、デジタル化の記憶ととりわけ博物館・アーカイブ との関連について論じた先行研究をまとめる。イスラエル国立図書館(National Library)・ホロコースト博物館(Yad Vashem)それぞれについて、歴史的考察 (成立過程およびイスラエル国家の歴史との関係)、現在進行中のプロジェクトについてのまとめを行った。 ②ホロコーストに関連する国家行事、記念日、追悼の方法についての先行研究。また、「移動と共生」研究会、中東地域に関連する研究会・学会等、オンライン で行われた課題に関連する研究会等に参加し、課題についての理解を深めた。
今後の展望としては、ディアスポラのユダヤ共同体の記憶とイスラエルにおけるナショナルアーカイブの関係について、ディアスポラ論および記憶と歴史との関 係という論点からまとめ、成果発表としていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
【研究目的】 本研究の目的は、アーカイブに集積される資料や展示される歴史の物語を所与のものとして捉えず、資料が回収・流通・展示される過程を追い、 過去の出来事が「ユダヤ民族の記憶」として共有/想像される動態を明らかにすることである。特にイスラエル・ホロコースト博物館でのフィールドワークを通 し、個人や家族の所有物であった資料(写真や書類、モノ)が、集合的な歴史資料へと変容する過程を問う。とりわけ、ホロコースト博物館の場合、ホロコース トを体験したユダヤ人が世界中に散在するため、国家の枠組みを超えて各個人の経験談や一次資料を収集し、「民族」の集合的記憶として想起させる必要があ る。また、戦後には同様の博物館が世界各地で建てられ、希少性の高い一次資料を巡り複数国の博物館が競合する状況にある。このようなトランスナショナルな 関係の中でアーカイブが果たす役割を明らかにする。 フィールドワークについては進めることができなかったが、上記の通り文献調査を中心として進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画について一年間の再繰り下げを行った。そのため、研究成果の発表を主要な活動として行う。現地調査については2019年度までに行ったデータにも 基づき、上記の文献調査を中心とした報告とする。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響で現地調査が行えなかったため。
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