2019 Fiscal Year Research-status Report
アフリカ熱帯林地域における妖術に着目した人間-動物関係と保全プロジェクト
Project/Area Number |
18K12597
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
山口 亮太 静岡県立大学, 国際関係学部, 特別研究員 (80783422)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 開発と保全 / アフリカ熱帯林 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、これまでの研究成果の発表と研究交流に多くの時間を割いた。5月には、日本アフリカ学会第56回研究大会で本研究の対象地域であるコンゴ民主共和国の熱帯 林地域における地域特産品の商品化についての発表を行った。この地域では、2000年代初頭まで続いた内戦後、地方行政によるインフラの維持や戦後復興のための地域開発や支援はほとんど行われてこなかった。そのため、住民は自助努力とにより物流や経済活動の復興を担うことを余儀なくされてきた。ただし、本地域には希少な霊長類ボノボの生息しているため、霊長類研究者と保全を目的としたNGOが活動を行うと同時に、開発支援もおこなっている。このような状況は、近年、コンゴ川の支流を利用した河川交易が復興する兆しを見せ始めていることから、大きく状況が変わることが予想される。河川交易で取り扱われる商品の中で、特に重要なのが発表で取り扱った乾燥イモムシと蒸留酒である。この二品目は森林資源としてのイモムシの持続性という点、蒸留酒の原材料は焼き畑からとれる農作物であり、その増産はより多くの森林面積を畑に転化する可能性が否めないという点で、保全をテーマとして掲げる本研究にとって無視することができな。また、河川交易の実態解明と、都市部における森林産物の需要の解明、対象地域住民による住民組織の支援など、目的としたアクションリサーチとして2017年に 共同研究で実施した水上輸送プロジェクトの成果についても、6月の日本文化人類学会第53回研究大会で共同発表(第2発表者)、8月には生態人類学会ニュースレ ター(筆頭著者)として発表した。これらの成果を発展させ、3月には明石書店から松浦直毅・ 山口亮太・高村伸吾・木村大治編著「コンゴ・森と河をつなぐ― 人類学者と地域住民がめざす開発と保全の両立」を出版した(第2編著者、4章分の執筆を担当)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度はコンゴ民主共和国における研究の進展は期待通りであったが、もう一つの対象地域であるカメルーン共和国における研究がやや遅れている状態である。 当初予定していた研究成果の発表を早急に実現したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、コンゴ民主共和国とカメルーン共和国の両対象地域での現地調査を実施する計画である。しかし、昨今の新型コロナウィルスの流行の推移によっては、現地調査を実施することは見送らざるを得ない可能性もある。その場合は、これまでの研究成果の発表に注力したい。特に、カメルーンにおける研究成果の発表を優先して行いたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの流行により、予定していた研究会がキャンセルになったり、購入を予定していた物品の納入予定がみていとなったため。
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