2023 Fiscal Year Annual Research Report
Transformation and Acceptance of Birth and Child-Rearing Culture in Urban Areas of China - Focusing on Domestic Service Workers
Project/Area Number |
18K12599
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
翁 文静 九州大学, アドミッションセンター, 准教授 (80780072)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 家政サービス員 / 実践コミュニティ / 文化の変容と受容 / 中国の都市部 / ケア / 家政婦 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では中国都市部における伝統的な産後の養生習慣である「月子」を取り上げ、中国の都市的文脈における伝統習俗の継承と新たな展開およびそれを担う家事労働者である「月嫂」の実践を描くことを通して、中国都市部の新しい産育文化である「科学月子」の形成過程とそこでの「月嫂」の役割を明らかにすることを試みるものである。 今年度は新型コロナウイルスおよび日中関係の影響で、中国国内における現地調査の実施ができなかった。そのかわりに、これまでの調査データ(現地とオンラ インの両方)を整理し、追加し、理論的枠組みを見直した。例えば、追加の調査データに関して、今年度は「科学月子」というキーワードを中心に、出産・育児のガイドブックや育児雑誌などのメディアに描かれた記事を分析し、「科学月子」の解明に至った。また、理論的な枠組みについては、レイヴとウェンガ(1993)が提唱した「実践」と「実践コミュニティ」の理論を「月嫂」の実践の形成と遂行に応用し、田辺(2003)が指摘した実践コミュニティにおける権力作用の視点も取り入れた。こうすることで、中国都市部に おける新しいケア文化の変容と受容を明らかにすることができ、また、ケア実践の場に隠されている国家の権力や統治を描き出すことができると考えられる。 今年度はこれまでの現地調査によるデータ(フィールドノーツ)の整理を行い、出版という形で研究成果を公開した。この研究成果の公開は、日本の出産・育児に関する研究や支援政策提言においても重要な示唆を与えることが期待される。
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