2018 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Kagura Hikyoku at the Enthronement Ceremony and the Vicennial Renewal of the Ise Grand Shrines in Modern Japan
| Project/Area Number |
18K12602
|
|---|
| Research Institution | Japan Women's University |
|---|
Principal Investigator |
瓜田 理子 日本女子大学, 文学部, 研究員 (20812712)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
| Keywords | 明治天皇 / 即位礼 / 神楽秘曲 / 登極令 / 継承 / 御代始の御神楽 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、平安時代に成立し現在も奏楽が続く宮廷歌謡の奥秘である神楽秘曲について、その長期継承の様相を明らかにするために、変動期の近代の奏楽状況に焦点を当てる。2018年度は、明治天皇の即位礼と神楽秘曲との関係を考察するために、天理大学附属天理図書館蔵「綾小路家旧蔵楽書」該当資料、宮内庁書陵部所蔵『内侍所渡御並御神楽等 明徳～明治』、『内侍所臨時御神楽一会』、『内侍所三ヶ夜臨時御神楽留』、『徳大寺実則日記』などの該当資料を精査した。その結果、神楽秘曲が明治の即位礼に密接に結びついて御代の長久を祈念するために奏楽されたことが確認できた。この奏楽のコンテクストは、近世の御代始の御神楽における奏楽に相当することを天理大学附属天理図書館蔵「綾小路家旧蔵楽書」の「御代始三箇夜御神楽例」や「秘曲賞例」などの該当資料を調査し確認した。また明治42年に制定された『登極令』と同附式に関する二つの解説書を調査し、『登極令』における神楽秘曲の位置付けを吟味し、大正と昭和の御大礼における神楽秘曲の奏楽も即位と一体となって継承されていることを明らかにした。これらの成果は、日本歌謡学会の口頭発表及び『日本歌謡研究』掲載論文、イスラエルのヘブライ大学とテルアビブ大学での講演という形で発表した。欧米の神道研究では神道儀礼が近代の創出という視点で政治化されて議論されることが多いが、神楽秘曲が近世から近代にかけて中断せずに続いている宮中祭祀・神道儀礼の重要な事例であることを国内外で発表できた。更にアメリカの出版社から2019年2月に刊行されたThe SAGE International Encyclopedia of Music and Culture （文化と音楽の百科事典）の中の「神道」の項目を担当し前年度までに入稿していたが、神楽秘曲について本研究の最新内容を反映するために校正を行い、出版に間に合った。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究実施1年目に海外で研究成果を発表する予定ではなかったが、該当する一次資料の調査が進み、成果の一部を海外で発表できた。具体的には、近代の神楽秘曲の変容と継承を検討するために明治天皇の即位礼と神楽秘曲の関連資料を精査し、明治天皇が神道儀礼でもある神楽秘曲の継承のために果たした役割を明らかにできた。2018年は明治維新150年だったので、イスラエルのヘブライ大学では「明治天皇の神道継承のために果たした役割」について講演を行った。
|
| Strategy for Future Research Activity |
研究期間内に実施される大礼の実地調査と、大正と昭和の大礼における神楽秘曲の構成要素の変容について調べ、神楽秘曲の長期的継承の実態を解明するための基礎的研究を更に進める。それらの結果をもとに明治22年の神宮式年遷宮の神楽秘曲導入と大礼における奏楽事例と比較して分析する。成果の一部は、学会発表だけでなく、すでに一般の雑誌から御神楽と神楽秘曲についての執筆依頼がきていることもあり、一般向けにも発表したい。
|
-
[Journal Article] Shinto2019
Author(s)
Michiko Urita
-
Journal Title
The SAGE International Encyclopedia of Music and Culture
Volume: -
Pages: 1943-1946
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
