2019 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Kagura Hikyoku at the Enthronement Ceremony and the Vicennial Renewal of the Ise Grand Shrines in Modern Japan
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18K12602
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Research Institution | Kogakkan University |
Principal Investigator |
瓜田 理子 皇學館大学, 現代日本社会学部, 准教授 (20812712)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 神楽秘曲 / 登極令 / 大礼 / 大嘗祭 / 社会生態学的レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(2019)は、(1)令和元年に執り行われた即位礼及び大嘗祭関係諸儀式の調査、(2)近代大礼関係資料の調査、(3)英語での研究発表の準備、の3点を中心に行った。 (1)については、研究実施計画の通り、本研究課題の最終年度に音楽文化の変容と継承の理論構築の端緒となることを目標とし、 本年5月から12月まで実施された大礼の実地調査を可能な限り行い、社会生態学的レジリエンス理論を適用するための蓄積データに最新データを加えた。具体的には諸儀式の記録、「即位礼及び大嘗祭後賢所御神楽の儀」が12月4日に斎行され神楽秘曲が奏楽されたことの確認、関係者のインタビュー、神宮御親謁の調査、一般公開された大嘗宮の撮影、東京国立博物館で特別公開された高御座と御帳台の撮影などである。 (2)については、国立公文書館蔵『大正大礼記録』・『昭和大礼記録』及び宮内公文書館蔵『御神楽録明治3~大正8』の資料を中心に調査し、明治政府の神楽秘曲についての近代化の視点を明らかにし、近代の神楽秘曲の奏楽事例を分析し、神楽秘曲の近代化が現代に至る奏楽の継承にどのように影響したのかを解明した。その成果発表として、令和元年度日本歌謡学会秋季研究発表会にて「近代大礼における神楽秘曲―賀茂百樹『通俗講義登極令大要』と多田好問『登極令義解』を通して―」と題する研究発表を行った。 (3)については、カナダの大学の研究者から2020年10月に日本の大礼について日本と欧米の研究者を招聘し国際シンポジウムを開催するので研究発表をしてほしいという招待を受けたこともあり、英語の研究成果の準備を進めている。またDuke University Press出版の英語の学際的学術誌Common Knowledgeから原稿執筆依頼があり、令和元年の大礼の最新情報と写真を含む原稿を提出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は研究成果の一部を学会発表だけではなく、令和元年10月7日・14日付「神社新報」に「人と神をつなぐ音―御代始の内侍所御神楽の儀と神楽秘曲-」と題して前篇と後篇に分けて、大礼における神楽秘曲の歴史と本義を一般向けにも発表ができた。一方で2月と3月に予定していた資料調査が新型コロナウィルスの感染拡大のため中止となり研究の進展がやや阻まれた。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年の3月以降、新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、大礼関連の展示などが中止になり、4月7日に緊急事態宣言が出されて宮内庁書陵部や国立公文書館なども閉館となっていたが、 5月25日に解除となり再びアクセス可能となった。しかし他県に行くのはまだ感染防止策をとり慎重にしなければいけない面があることに加え、秋以降の第二波が予測されているため、資料調査は夏に集中的に行う予定である。 また2020年度と2021年度は海外での研究発表を予定している。しかし、2020年10月に予定されていたカナダの国際シンポジウムは新型コロナウィルスのため2021年3月に延期との報告を受けた。海外の研究発表は感染拡大の有無で可能かどうか不明だが、英語論文の準備を進めて発表を目指す。
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Causes of Carryover |
2月と3月に予定していた資料調査が新型コロナウィルス感染拡大のため実施できなかったため。2020年に行う予定である。
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