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2018 Fiscal Year Research-status Report

奄美群島における村落自治文書の基礎的研究

Research Project

Project/Area Number 18K12610
Research InstitutionOkinawa International University

Principal Investigator

及川 高  沖縄国際大学, 総合文化学部, 講師 (60728442)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords奄美群島 / 村落 / 自治 / 近代民衆史
Outline of Annual Research Achievements

この年度においては、奄美大島の龍郷町・宇検村、および与論島において各区長宛に書状を出し、村落自治文書類の捜索にあたった。その結果として大島においては4件の文書類の所在が確認され、次年度にはその実地調査を予定している。また与論島においては該当する文書は発見できなかったが、代わりに大正時代の文書1件を発見した。これについては後述する。
現時点の研究成果としては、奄美群島の近世から近代に移行する時期における村落自治の概要が明らかとなってきたことが挙げられる。これは主に郷土史類の記述の整理から得られたモデルであるが、近世から近代にかけ、従来の社会組織が名称を変えながら温存される一方、土地利用の変化や新たな行政制度の導入によって、それらが動揺する状況については既に基本的な見通しが得られている。他方でこれには既に明らかに地域差が認められ、その整理については今後の課題としている。
該当年度の成果としてはっきりわかってきたのは、奄美の集落の自治における「規約」や「文書」の存在感の乏しさである。自治文書類の残存数の少なさは想定以上であったが、このことによりかえって奄美の村落自治の特質は浮き彫りになった。
もう1点の発見は、前述した与論島の文書の発見である。これは概ね大正時代に相当する島の商家の帳簿である。劣化が進んでいたがこの時期の奄美の在地文書として貴重であるため、修復と解読を進めている。これは直接自治に関わるものではないが、この時期の奄美の資本主義の実態を知らせてくれる類例のない史料であり、これによって南島の地域史への大きな貢献がもたらされることが期待される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

史料類の悉皆的な調査を行っているが、これについては既に調査した中でも残存が明らかに乏しいことが分かった。そうした中で宇検村では既に複数の文書の所在をつかんでおり、これらの実地調査がさしあたりの課題である。ほか本科研によって複数の未発見の文書が見つかっており、これによって上記の自己評価とした。一方で、資料の状態は総じて劣化が進んでおり、書面を開くことができないなど、このままでは利活用できないものが目立った。言い換えれば本科研は、逸失の一歩前において調査に着手することができた時宜を得た調査であり、その社会的意義と使命は計画段階よりもいっそう高いものとなった。ただこのために、当初は想定していなかった史料の修復やレスキューの工程が入ることとなり、このことで所期の計画より遅滞していることも事実である。今後の史料の発見状況をみて、計画全体を見直すとともに、場合によっては史料の修復等はより大きな研究計画に組みなおしていく必要性についても検討している。

Strategy for Future Research Activity

2年目にあたる今年度は引き続き、史料の捜索に従事する。調査地としては奄美大島南部の住用村と大和村、および沖永良部島を考えている。ほか前項にも述べたように、すでに発見した史料に関しては修復を始めており、これらの解読と翻刻も今年度の計画に含まれてくる。計画は今年度までは当初の計画より大きく変更しないつもりでいるが、今後発見される史料の量によっては、これらの整理は本科研の射程にふくめず、まずは史料の所在調査に徹底する方針に転じることも考えている。

Causes of Carryover

調査計画の途中で史料を発見し、その修復が必要となったため、専門の業者に業務を依頼する必要が出た。このための予算は当初計上していた人件費によって主に執行するつもりでいたが、業務の専門性のため見積等を手配する必要があり、執行が遅れた。その関係で年度内での予算の執行率は低いものとなった。しかし資料修復事業自体は調整を進めており、今年度に執行することで計画全体の見直しは必要のない状況である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2018

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 大正5年奄美大島における村落火災と義捐 ―宇検村阿室の事例―2018

    • Author(s)
      及川高
    • Organizer
      日本民俗学会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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