2018 Fiscal Year Research-status Report
Anthropological study of resource-getting behaviors among hunter-gatherers in forest of tropical Africa
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18K12611
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
彭 宇潔 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, プロジェクト研究員 (70791218)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 狩猟採集民 / 居住空間 / 環境知覚 / 社会関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は12月から1月にかけて約3週間渡航して、カメルーン東南部で約2週間のフィールドワークを実施した。主には(1)バカ・ピグミーたちが獲得する対象の資源の地理的情報の収集と、(2)バカたちが利用する森の中の道と資源の位置に関する知識の聞き取り、(3)個人に対する移動・移住史の聞き取り、そして(4)キー・インフォマント(以下KIと略す)に対して環境知覚に関する追跡調査をおこなった。資源の地理的情報とそれに関連するバカたちの知識については、彼らが主に川と地形を目印に覚えて、他者との共同経験を語ることによって情報を共有するということがわかった。その調査結果を、2018年5月の日本アフリカ学会で口頭発表で報告した。また、個人の移動・移住史については、主にその個人の婚姻状態と共同居住者との人間関係は個人の移動・移住の理由になることがわかった。その結果とこれまで実施した親族に関する調査結果を含めて、バカたちにおける社会関係と居住・移動に関する論文を執筆しているところである。環境知覚の追跡調査については、本来計画したKIにカメラを設置することをやめて、調査者(研究代表者)につけてKIの行動を撮影する方法に変更した。変更後の調査方法はKIを含む集団活動のメンバーを多数撮影することができ、KIに対する行動研究により良い方法である。この調査を通してバカたちは森を歩く実践の中で周囲の環境を知覚するには主に視覚と聴覚に頼っているが、嗅覚にもしばしば頼っていることが明らかになった。それに関して、論文執筆のためのデータ分析をおこなっているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は12月から1月まで3週間渡航して調査をおこなった。それは、交付額が当初の申請額より減額されたことと、調査地までのアクセスが悪くなったことで、申請時の計画より現地調査の期間が短かくなったほか、研究代表者の体調が崩れたことで海外での文献収集ができなかった。しかし、追跡調査の内容と方法を調整して聞き取り調査を加えて、それに調査対象者たちに協力してもらったおかげで、使用する調査機器が限っても、居住地と活動範囲、資源の位置及びそこまでたどり着くルートに関する基本データが計画通りに収集できた。一方、基本情報である社会関係について、これまでの調査の蓄積に加えて補足調査を実施し、計画通りに把握できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は現地調査を通して、(1)キーインフォマントに対する追跡調査、(2)利用資源の地理的情報の収集を引き続き実施するほか、(3)移動中の集団行動の映像・音声の記録と(4)居住地での資源獲得と利用に関する行動と会話を記録する。さらに、(5)広域における個人の移動・移住史の継続調査に関して、個人に対して写真を用いて聞き取り調査を実施する予定である。ただし、交付額は申請額より減少されたため、追跡調査に使用できるカメラや音声レコーダー、GPS記録機などの機材は数が限っていて、調査期間は申請時の計画より短くなると予想される。対策として、申請時に予定したKIの人数を減少して、通時的なデータを取ることにする。また、データ分析研究会の開催と参加を通してほかの研究者に協力を依頼する形で進んでいく予定もある。
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Causes of Carryover |
未使用額が生じた理由:文献調査用の電子辞書が想定より安価だったため、残額が発生した。 次年度における未使用額の使用計画:写真現像に使用する予定である。
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