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2019 Fiscal Year Research-status Report

Potentiality for Coexistence Based on Corporeal Experience: A Case Study of Competitive Athletes in Kenya

Research Project

Project/Area Number 18K12612
Research InstitutionNational Museum of Ethnology

Principal Investigator

萩原 卓也  国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, 外来研究員 (80803220)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywordsスポーツ / 文化人類学 / 身体 / ケニア / 自転車 / フィールドワーク / 集団 / 共同性
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、ケニアの自転車競技選手を対象に、たがいに葛藤や嫉妬を抱えつつも共存している集団の在り方を探究することを通して、社会集団の生成とその持続性を論じる研究に一石を投じることである。
2年度目は、引き続き文献研究を継続すると同時に、当初の予定通り8月から9月にかけてケニアでの現地フィールド調査を実施した。今回の調査は、これまでの現役選手を対象とした調査とは異なり、成績不振などを理由に競技団体から離れざるをえなかった元競技選手を対象にした。彼らの現在の生活状況を把握し、さらに競技選手であった過去が現在に対して与える効果について聞き取り調査を実施した。そのなかで、彼らは現役選手との距離を保ちつつ、また自身が選手時代に培った人脈を巧みに頼りながら、競技以外の仕事で生計を成り立たせていた。その現状から、現役と引退選手の共存というよりも、並存という分析の方向性が導き出された。これは、セカンド・キャリアという言葉で単純に位置づけられてしまいがちなアスリートの競技後の生活を、現役選手や引退選手どうしの関係から再考する事例にも成り得る。
2019年度は、これまでの文献研究とフィールド調査の成果を、以下3つの異なる層に対して発表した。(1)6月には、新設された国際ファッション専門職大学にて、全身を投入して身体で考えるフィールドワークの意義を新入生に対し話す機会を得た。(2)7月には、スポーツ人類学会が定期的に主催している「スポ人サロン」というセミナーにおいて、研究の進展が期待されるアフリカのスポーツ事情について研究者と共有する機会をもった。(3)8月には、調査地ケニアでのシンポジウム(日本学術振興会ナイロビ研究連絡センター主催)で発表した。ケニヤッタ大学の現地研究者を含む参加者と「よりよいスポーツの在り方」について議論を深めることができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

申請時の実施計画に沿う形で、2年度目も文献研究に加え、夏に現地フィールド調査を集中的に実施することができ、研究全体を進展させることができた。研究実績の欄でも示したように、競技生活から離れた元選手への追跡調査を実施できたことが、ケニアにおける自転車競技というスポーツの特徴を再考するうえで重要であった。また、属性の異なる層に対し研究内容・成果を発信することができた。とくに、ケニヤッタ大学やナイロビ大学の現地スポーツ研究者と交流できたことが大きな収穫であった。今後は彼/彼女らと連携し、より幅広いアスリートを対象とした共同研究にもつなげていきたい。現地研究者より発せられたコメントも、スポーツをケニアの文脈で考え直すうえで示唆的だった。本研究において、アスリートの競技後の実態をケニア社会において取り上げることは、このような事例が考察されてこなかった東アフリカの地域研究に貢献することができる。
ただ、COVID-19の影響により、2月に予定していたケニアでの現地フィールド調査、および3月に発表を予定していた学会も中止になってしまった。また、これまでの成果を発表の形では発信・共有できたものの、論文としてまとめることはできなかった。発表の機会で深めた議論をもとに、論文執筆は3年目の課題とする。以上から、本研究は進展しているものの、やや遅れていると評価した。

Strategy for Future Research Activity

最終年度である2020年度は、文献研究の成果とフィールドワークで収集されたデータを照らし合わせながら整理・分析し、得られた研究成果を積極的に国際・国内学会を通して発信していく。合計3年間の研究全体を総括し、身体性を基盤とした他者との共存/並存の可能性を探究する。
夏季に短期間の現地調査を予定している。調査にあたっては、調査地の情勢などを事前にチェックして、慎重におこなう。2019年度の調査で不十分であった選手/元選手のライフヒストリーを重点的に収集する。ケニアにおいて自転車競技選手として生きるとはどういうことかを、彼らの人生の中にあらためて位置づけることを試みる。COVID-19の影響によりケニアへの渡航が困難であれば、渡航時期を後半にずらして現地調査を実施するか、渡航をあきらめオンラインのツールを活用しながらインタビューを試みる。COVID-19の感染拡大の中で、アスリートもあらたな生活の形を問われ、それぞれが工夫し実践している。このような状況下におけるアスリートの身体との向き合い方、および関係性の構築の仕方も視野に入れつつ、最終年度の研究を展開させていきたい。
期待される研究成果に関して、「ケニアにおけるアスリートの競技後の生計戦略と人脈の活用」については『アフリカ研究』等へ、「他者との共存/並存を可能にする身構え」については『スポーツ人類学』等の雑誌に対し論文を投稿する。

Causes of Carryover

COVID-19による影響で、2020年2月に予定していたケニアでの現地フィールド調査が実施不可能に、3月に参加を予定していた日本スポーツ社会学会第29回大会が延期に、3月に発表を予定していた日本スポーツ人類学会第21回大会が中止となった。したがって、それらに対して使用予定であった旅費等の経費がそのまま残額として、すなわち次年度使用額として残った。これらは、2020年度に実施予定のケニアでの現地フィールド調査や、国際・国内学会およびシンポジウムへの参加にかかる旅費等の経費として使用する計画である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2019

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] 考えるべきか、感じるべきか、フィールドワークではそれが問題だ(フィールドで見た、カラダを彩るライフスタイル)2019

    • Author(s)
      萩原卓也
    • Organizer
      『ラウンド・アバウト-フィールドワークという交差点 』出版記念セミナー
  • [Presentation] 都市部のスポーツ事情と文化人類学のフィールド調査-自転車競技を中心に-2019

    • Author(s)
      萩原卓也
    • Organizer
      2019年第2回スポ人サロン(日本スポーツ人類学会主催)
  • [Presentation] Rethinking Sports, not Activity but Passivity, through Ethnographic Observation of Competitive Cycling Group in Kenya2019

    • Author(s)
      Takuya Hagiwara
    • Organizer
      Kenya-Japan Collaboration Workshop on Sport Research (Japan Society for the Promotion of Science)
  • [Presentation] アスリートだった者たちの人生:ケニアの元自転車競技選手への追跡調査から2019

    • Author(s)
      萩原卓也
    • Organizer
      日本スポーツ人類学会第21回大会

URL: 

Published: 2021-01-27  

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