2022 Fiscal Year Annual Research Report
Potentiality for Coexistence Based on Corporeal Experience: A Case Study of Competitive Athletes in Kenya
Project/Area Number |
18K12612
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
萩原 卓也 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 研究員 (80803220)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スポーツ / 文化人類学 / 身体 / ケニア / 自転車 / 感覚 / 疲労 / 共同性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ケニアの自転車競技選手を対象としたフィールドワークをもとに、たがいに葛藤や嫉妬を抱えつつも共存している集団の在り方を探究することを通して、社会集団の生成とその持続性を論じる研究に貢献することである。 最終年度であった2022年度は、COVID-19の影響により見合わせていたケニアでのフィールドワークを約3年半ぶりに実施できた。対面でのインタビューや参与観察は、その人間の身振りや表情、また身体やモノを含めた空間までも捉えることを可能にし、非常に有意義であった。具体的には、COVID-19によって生じたスポーツ選手の生活形態の変化と再編、自転車競技団体内外の関係性の変容の様相、さらに自転車競技から離れた元選手どうしのつながりや機微を調査することができた。 COVID-19の影響により研究期間を当初の予定である3年間から5年間へと延長したことは、結果的に(元)自転車競技選手の社会生活をより長いスパンで多角的に考察することを可能とした。これまでの研究成果を2つの国際会議で発表した。(1)競技時代に培った身体性を基盤とした他者との共存/並存の可能性に焦点を当て、International Conference of Ethiopian Studiesで発表した。アフリカ現地での発表は、研究内容の地域的特性と普遍的な問いをあらためて検討する機会となった。(2)また、International Symposium on Lifelong Sciencesでは、ケニアにおけるスポーツ経験が若者の生涯や生計戦略に与える効果について発表した。これは、今後の研究の展開を考えるうえでも貴重な契機となった。 今後の研究の展開として、国際会議で得られたフィードバックやあらたな知見をもとに、それぞれの発表内容を論文として『アフリカ研究』および『スポーツ人類學研究』に投稿する準備を進めている。
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Research Products
(5 results)