2019 Fiscal Year Research-status Report
法制度内の子どもに対する差別・偏見・ステレオタイプ
Project/Area Number |
18K12613
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 宙治 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 特任講師 (20779392)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 法社会学 / 子ども法学 / 子どもの地位 / 法の実証分析 / 差別 / 偏見 / ステレオタイプ / 交渉 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本は超高齢社会に突入し、高齢化が進んでいる。これは逆に言えば、社会内の子どものマイノリティ化が急速に進んでいるということでもある。そうした社会背景を踏まえて、次世代の社会を担う子どもの利益・権利を真に適正に確保することは重要な課題である。本研究は、各種法制度内の場面において、人々が子ども(未成年者)に対して持っているステレオタイプ・偏見・差別の構造を、総合的・実証的に解明することを目的としている。さらには、社会内・法制度内で子どもの利益・権利を真に適正に確保するための政策提言を目指す。 2019年度は、主に次の2つを行った。第一に、昨年度に実施した子どもに対するステレオタイプ調査のデータについて、さらに分析を深めた。日本社会において、子どもという集団に対する人々のステレオタイプ・感情・行動(集団に対するイメージ)の内容にはどのような特徴があるのかを分析した。第二に、社会内・法制度内の具体的な場面において、子どもに対する事実上の不利益な扱いが存在するか否かについて、研究を行った。子どもとの交渉・合意形成が生じる各種場面を題材に、一般人2200人を対象とするオンラインでのシナリオ実験を実施した。暫定的な分析結果として、年齢以外の条件(能力等)に差がなかったとしても、子どもであるというだけで事実上不利に扱われる場合があることが実証的に示された。不利に扱われる程度も、金銭換算すると、決して小さくないことも判明した。これらの研究成果の一部は、2019年6月RCSL(国際法社会学会)学術大会及び2019年5月日本法社会学会学術大会において、研究報告を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初の計画どおりに、シナリオ実験を実施し、順調にデータの収集・分析を進めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の3年目(最終年度)となる2020年度は、2年目のシナリオ実験で得られたデータをさらに詳細に分析するとともに、補足的な調査・実験を実施する。そのうえで、初年度のステレオタイプ調査で得られた知見も合わせて、総合的考察を試みることを予定している。社会内・法制度内の場面での子どもに対するステレオタイプ・差別・偏見の内容を整理するとともに、子どもの利益・権利を真に適正に確保するための政策提言をとりまとめる計画である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行に伴い、当初2月及び3月に予定していた不急の物品購入等を次年度にまとめて行うことにしたため。
|
Remarks |
研究代表者webページ(齋藤宙治 researchmap) https://researchmap.jp/hrs/
|