2018 Fiscal Year Research-status Report
On Inter- and Intra-Generational Justice
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18K12616
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Research Institution | Utsunomiya Kyowa University |
Principal Investigator |
吉良 貴之 宇都宮共和大学, シティライフ学部, 講師 (50710919)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 法哲学 / 世代間正義 / 気候正義 / 世界正義 / 公的年金 / 世代間格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は世代間問題を適切に扱うための基礎概念として「世代主体性(generatinal agencies)概念の切り分けと、問題に応じた責任配分の考察に取り組んだ。基礎固めとしての性格が強いため、特に問題関心の国際発信に努めた。国際会議報告は以下3件。 01: KIRA Takayuki, "Intergenerational Causation and Responsibility," 11th East Asian Conference on Philosophy of Law, 13 December 2018, Hong Kong University, China; 02. KIRA Takayuki, "Legal philosophical issues on long-term causation and intergenerational allocation of responsibility," 11th International Conference on Applied Ethics, 16 December 2018, Kyoto University, Japan; 03. KIRA Takayuki, "Normative Range Problem on Intergenerational Justice" (discussion with Prof. Konrad Ott), International Workshop on Meta-Science & Technology, 24 March 2019, Kobe University, Japan. 以上により、2019年度以降の研究にあたっての国際ネットワーク構築の手がかりが得られた。また以上の報告に基づき、2019年度には単著書1冊と、英語論文の公刊を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に述べた通り、3件の国際会議報告を行い、本研究に関わる国際的ネットワーク構築の手がかりを得た。世界各国の研究者・実務家と意見交換するなかで、本課題がグローバルな規模での重要性を持っていることが確認された。 内容的には、世代間問題における責任主体を適切に切り分けるものとしての「世代主体性(generational agencies)」概念の分節化に主に取り組み、規範的範囲問題(normative range problem)として考察を進めた。これにより、短期的な世代間問題(公的年金問題などにおける世代間不均衡)、中期的な世代間問題(気候変動などの世界正義問題)、長期的な世代間問題(放射性廃棄物の処理)といったように、それぞれの問題の時間的範囲に応じた議論枠組みを作り、その関係を問う視角を構築する必要を確認している。 本研究に直接関わる公刊業績はないが、2019年度に単著書と英語論文の刊行を予定しており、その基盤構築に一定の目処がついたものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、上記3件の国際会議報告の論文化を行うとともに、特に長期的な世代間問題について取り組んできた論考を改訂・加筆する形での単著書の刊行を行う。これによって、本研究の基本的な理論的足場が構築される見通しであり、3年目以降のさらなる考察につなげられるものと考えている。 具体的に取り組むべき問題としては、現在時点での集合的意思決定の問題と数十万年規模の世代間問題が交差するものとしての放射性廃棄物処理があげられる。これについては哲学的問題も多くあるので、文献の渉猟を進めるとともに、世界各国の実務担当者との意見交換も進めている(現在のところ、日本とドイツが中心だが、取り組みの進んでいるイギリスや北欧の研究者・実務家とのネットワーク構築の準備を考えている)。
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Research Products
(4 results)