2018 Fiscal Year Research-status Report
法存在と法活用のギャップ克服に向けた実証的研究―当事者の心理的側面に着目して―
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18K12617
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
橋場 典子 立教大学, 法学部, 特別研究員(日本学術振興会) (90733098)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 法システム / ギャップ問題 / 法認識 / 法意識 / 心理的側面 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「法システムの存在」と当事者による「実際の活用」との間にあるギャップ問題に着目し、システムから排除されやすい状況にある人々が法システムにアクセスする際に直面する困難性とその克服方法について、実証的に解明することを目的としている。 具体的には、法システムを活用する当事者の方々に対し、法的存在をどのように認識しているか/いたか、法活用に至るまでの経緯(とくに心理的な動き)、法活用に至る際のターニングポイント(きっかけとなる出来事、心理的要因)について聴き取りを実施する。同時に、ギャップ問題(gap problem)の克服に関して先駆的取り組みを行っていると思われる国内外の団体への調査も実施する。一連の国内外におけるフィールドワークを通して、どのような場合に法システムへのアクセスがスムーズに行われ、どのような場合に法システムへのアクセスが困難になっているのかを実証的に明らかにするものである。
助成初年度の本研究は、とくに制度を活用する当事者自身の心理的側面に着目し、聴き取り調査を実施した。具体的には、自治体の法律相談窓口利用者、DV被害者、少年院出院者に聴き取りを実施した。その結果、調査に協力してくれたいわゆる当事者達は、法システム自体や弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職が持つ一種の権威性に対して、「拒否感」や「近寄りにくい感情」を抱いている場合が多く観察された。この点は、法システムの存在と実際の活用との間にあるギャップ問題の根本的課題であると思われるため、次年度以降はこの点をさらに深め、心理的拒否感の背景要因の解明、克服のための必要項目について追究していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
助成初年度に予定していた国内調査及び理論研究が概ね進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は初年度から得られた知見をさらに深めるために、国内外におけるフィールドワークを精力的に行う。さらに、学会・研究会等で本研究の途中経過発表を行い、他の研究者からのフィードバックを得ることに努める。
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Causes of Carryover |
調整がつかず、初年度に予定していたすべての調査(国内・国外含む)に行くことが出来なかったため。2019年度は国内外における調査に加え、国際学会において本研究の途中経過報告を行う予定である。(現時点では、アジア犯罪社会学会(6月)、アメリカ犯罪学会(11月)、アジア法社会学会(12月)のいずれかにおいて報告を予定している。)
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Research Products
(8 results)