2018 Fiscal Year Research-status Report
Designing Judicial Selection Systems through Modern Challenges in Japan and the United States: Judicial Independence and Democracy
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18K12618
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
原口 佳誠 関東学院大学, 法学部, 准教授 (40551594)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アメリカ法 / アメリカ憲法 / 比較憲法 / 司法制度 / 裁判官任命 / 裁判官選挙 / 公正な裁判 |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研費研究のテーマである、アメリカの司法制度研究に関連した研究実績の概要は次のとおりである。 (1)「司法と民主主義の諸相―2018年のサンフランシスコ・ベイエリアの裁判官選挙から」アメリカ法判例研究会・口頭発表(2018年7月27日、於・早稲田大学)。【概要】サンフランシスコ・ベイエリアでは、裁判官のリコールにおいて、#MeToo運動と絡められた裁判官罷免運動が展開され、現職裁判官が失職した。司法の独立と民主主義の相克の一例である。 (2)「アメリカ・ロースクール協会2019年年次大会の参加報告」アメリカ法判例研究会(科研費臨床法学グループ、早稲田大学臨床法学教育研究所、比較法研究所アメリカ最高裁研究会共催)・口頭発表(2019年3月21日、於・早稲田大学)。【概要】2019年年次大会のテーマは「架橋する(Building Bridges)」であったが、分極化するアメリカ社会において、法律家の専門的論理思考により、聴取し、考察し、理由づけ、協働し、解決し、修復すること-社会の分断の架橋―を模索すべきであるという認識を共有した。 (3)ピーター・A・ジョイ(原口佳誠訳)「大不況とアメリカの法学教育」比較法学(早稲田大学比較法研究所)第52巻第3号掲載(校了。2019年公刊予定)【概要】アメリカの司法制度を支える法学教育と法律市場が、大不況に伴い変容しつつあり、市場のニーズに合わせた法学教育の改革の必要性を確認した。 なお、これらの研究実績のほか、合衆国最高裁の憲法判例評釈1件、ならびに日本国憲法の憲法判例集の改訂(吉田仁美・渡辺暁彦編『憲法判例クロニクル』(ナカニシヤ出版、2016年):No.36 「薬事法事件」,No.44 「死刑の合憲性」,No.68 「最高裁判所裁判官の国民審査」担当)があり、No.68の判例評釈は、本研究課題と関連している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画どおりに研究活動を行った。 まず、2018年5月、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ・ベイエリアにて、州裁判所裁判官の選挙ならびにリコールに関する事例につき調査を行い、複数の裁判官・研究者・新聞記者にインタビューを行った。これらの調査に基づき、2018年7月27日に早稲田大学で開催されたアメリカ法判例研究会において、「司法と民主主義の諸相―2018年のサンフランシスコ・ベイエリアの裁判官選挙から」と題する報告を行った。本報告について、論文発表を予定している。 次に、2019年1月、アメリカ合衆国ルイジアナ州ニューオリンズで開催されたアメリカ法科大学院協会年次大会に参加し、アメリカの学界の潮流ならびに司法制度の現状把握を行った。本研究活動については、2019年3月21日に早稲田大学で開催されたアメリカ法判例研究会(科研費臨床法学グループ、早稲田大学臨床法学教育研究所、比較法研究所アメリカ最高裁研究会共催)において、「アメリカ・ロースクール協会2019年年次大会の参加報告」と題する報告を行った。本報告についても、論文発表を予定している。 さらに、ピーター・A・ジョイ(原口佳誠訳)「大不況とアメリカの法学教育」比較法学(早稲田大学比較法研究所)第52巻第3号掲載(2019年公刊予定)の執筆を通じて、アメリカの司法制度を支える法学教育と法律市場の変容を確認した。 これら一連の研究活動に加えて、文献研究により、裁判官任命制度・選挙制度に関する現状把握と制度設計について理解を深めた。これらの研究を通じて、現代アメリカにおける司法制度の現状、ならびに裁判官選任制度に関する課題について把握した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、アメリカの裁判官選任制度研究に加えて、日本の最高裁判所裁判官選任制度の制度改革の視座を得てゆきたい。文献研究、ならびに、日本の元裁判官へのインタビューを行う予定である。特に、最高裁における裁判官任命諮問委員会の制度の導入について、憲法上の問題を探究したい。 また、昨年度に引き続き、学会・シンポジウム・研究会に積極的に参加し、発表の機会を得たい。本科研費研究のテーマに沿った論文投稿を行いつつ、その研究の知見を国際的に還元すべく、アメリカを中心として、国際的な発表機会も得てゆきたい。
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