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2018 Fiscal Year Research-status Report

憲法における公務員制度の意義:ヴァイマール共和国期の論議を素材として

Research Project

Project/Area Number 18K12632
Research InstitutionOsaka City University

Principal Investigator

阿部 和文  大阪市立大学, 大学院法学研究科, 准教授 (40748860)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords憲法 / 公務員 / 官僚制 / ドイツ公法 / ヴァイマール憲法
Outline of Annual Research Achievements

平成30年度の研究活動は、①平成29年度までの研究で得られた知見の公表・発表に関わるもの、②平成30年度からの研究課題の遂行に関するもの、とに区別される。尤も、①の作業に当たっても、②の作業で得られた知見が反映された部分があり、双方の作業は互いに連関している。
①については、先ず[a]「大統領命令下の「プレスの自由」(一、二・完) ‐クルト・ヘンチェルによる評価を素材として‐」という論稿を執筆した。第一回は既に公表済であり(法学雑誌64巻4号)、第二回は校正刷の段階にある(同65巻1号、2019年公刊予定)。又、[b]国内の研究会において、前記論稿とは別の主題(プレスの「公的責務」に関する論議)に関する報告を行った。更に、博士論文を単行本として公刊する為の準備を進めており、改稿に際してはプレス法に関する研究の成果が反映されている。
②については、ヴァイマール共和国期の官僚制に関する公法学および周辺領域の書籍・論文・公文書の収集、及びその検討を進めた。資料収集については国内研究機関の図書館のほか、ドイツ国立図書館・ドイツ連邦公文書館に赴き、国内に所蔵されていない雑誌・書籍、及び国内やオンラインではアクセスできない当時の行政文書の閲覧・複写を行った。特に行政文書からは、当時の官僚制をめぐって、我が国で夙に知られている俸給の引下げ問題(WRV第129条の保障する既得権の侵害に当たるか)のほか、国家体制の変動に伴う官吏の再任用問題、官僚の政治的活動(特に政治団体への所属)規制、等の課題が検討されていたことが判明した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成29年度までの研究課題に基づく研究成果の公表にを遅ればせながら果たせた事、又、本研究課題に関連する資料の収集と閲読を進め、主要な論者(ケットゲン、ナヴィアスキー、ハンス・ゲルバー等)の主張や実務レベルで議論された法的問題の概要を把握しつつある点では、研究には一定の進展があったと評価できる。
しかしその一方で、平成30年度も教育活動・社会貢献活動等、本課題に基づく研究以外の活動にも相応の時間と労力を費やすこととなった。このため、当時の学説・実務の概況の把握を超えて、①論者ごとの細かな主張の分析(同じヴァイマール共和国期でも主張にどのような変化が生じ、それがいかなる要因によるのか)や、②複数の論者間の比較(いかなる現実の問題をめぐって分岐が生じたのか、分岐の背後にはいかなる学問的前提の違いがあるのか)、あるいは③実務レベルの問題がいかなるプロセスを経て処理されたのか、等の詳細を解明するには至っていない。この点で、研究の進捗は完全なものだったわけではない。

Strategy for Future Research Activity

今後は平成30年度に得られた知見を踏まえて、個別的なテーマに絞った上で資料の検討を進める。具体的には、アルノルト・ケットゲンの著作を主な対象として、その所説の特徴と、同時代における位置づけについて分析を行う。
ケットゲンはヴァイマール共和国期からナチス期を経てボン基本法期に至るまで活動を続けた公法学者であり、特に第一の時期には官僚制について次のように盛んな著述活動を行っている:「議会制民主主義におけるドイツ職業官僚制」(1928年)、「官吏法」(1929年)、「官吏の政治的活動」(1932年)、「ドイツ職業官僚制の発展と現在国家における官僚制の意義」(1932年)」等。これらの著作を通して、彼が官僚制に対していかなる(積極的な)意義・役割を認めており、又、民主主義との緊張関係をいかに説明していたのか、を分析することが当面の課題となる。その際、同じヴァイマール共和国期の著作であっても、夫々の著作の間にいかなる主張の変化・差異があるのか、あるとすればその要因は何かについても注意を払う。
又、ケットゲンは官僚制の外にもゲマインデ(地方自治体)や大学等の団体・組織の地位も度重ねて主題として取り上げており、そうした彼の学問全体との関連も視野に収めた検討を目指す。一方、時間軸上はあくまでヴァイマール共和国期の著作に限定する予定である。確かにナチス期やボン基本法期にもケットゲンは同種の主題を扱っているが、しかし法的前提が大きく異なっており、特にナチス期については体制との関わり合いをめぐって繊細な取扱いが必要となるためである。
更に、最終的には、同じヴァイマール共和国期の外の論者の主張との比較を行い、ケットゲンの主張の特徴を浮かび上がらせることが目標となる。

Causes of Carryover

購入予定であった書籍の刊行が遅延した事、及び、発注した書籍の到達が平成30年度会計の締切日に間に合わなかった事により、当初予定していた物品について一部執行ができなかった為に、次年度使用額が生じた。当該金額については、以前より購入予定であったものについては、本年度に刊行され次第執行するものとし、その余の部分については、ドイツの官僚法制に関する他の資料を購入する為に使用する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2019 2018

All Journal Article (2 results) (of which Open Access: 2 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 「大統領命令下の「プレスの自由」(一) ‐クルト・ヘンチェルによる評価を素材として‐」2019

    • Author(s)
      阿部和文
    • Journal Title

      大阪市立大学 法学雑誌

      Volume: 64巻4号 Pages: 28-64頁

    • Open Access
  • [Journal Article] 「大統領命令下の「プレスの自由」(二・完) ‐クルト・ヘンチェルによる評価を素材として‐」2019

    • Author(s)
      阿部和文
    • Journal Title

      大阪市立大学 法学雑誌

      Volume: 65巻1号 Pages: 校正段階のため未定

    • Open Access
  • [Presentation] ヴァイマール憲法期のプレス法改革論議 -クルト・ヘンチェルの所説を手掛かりとして-2018

    • Author(s)
      阿部和文
    • Organizer
      北陸公法判例研究会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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