2023 Fiscal Year Annual Research Report
Functional Analysis of the Relationship between Tax Law and Private Law
Project/Area Number |
18K12634
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
長戸 貴之 学習院大学, 法学部, 教授 (90632240)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 超過収益 / TK-GKスキーム / 証券化 / CFC税制 / GloBE |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究成果は以下の3点にまとめられる。 第1に,2021年度、2022年度の研究実績として報告していた,「スタートアップ企業によるイノベーションを促進する税制の設計のあり方」と「事業信託と課税」が公刊されるに至った。このうち、後者については脱稿後に発足した岸田政権の下でスタートアップ育成・促進に関する政策が展開され、税制上もスタートアップ向けの税制が拡充された。そのため、2021-2023年度の税制改正を反映させた英語論文を執筆し公表した。また、これらの論文をベースとして学生向けに法人税における租税優遇措置のあり方に関する小文を執筆した。 第2に、国際課税と知的財産権の関係性に関する研究を進め、いくつかの論文を執筆した。特に、OECDが主導するデジタル経済に関する課税問題についてのプロジェクトの第2の柱とされるGloBEルールについて分析した。まず,「Pillar 2 as a De Facto New Revenue Allocation Mechanism」と題する論文を、海外大学での研究会報告を経た上で投稿し,査読論文として公表した。同論文では、第2の柱が,知的財産権からの超過収益などに対する事実上の新たな課税権の配分ルールとして機能しており,税収をめぐる対立が生じていることを指摘した。また、GloBEルールの下でのインセンティブ税制のあり方について検討する論文を執筆し,パテントボックスの導入圧力が生じることを指摘した。実際に令和6年度税制改正では,イノベーションボックス税制が導入された。この論文は2024年度内に書籍収録論文として公表予定である。 第3に,租税法と私法に関する判例評釈や判例研究をいくつか執筆した。
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