2021 Fiscal Year Research-status Report
違憲審査基準の動態的把握――比例原則との比較に向けて
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18K12635
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
村山 健太郎 学習院大学, 法学部, 教授 (50345253)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 違憲審査の基準 / 違憲審査制 / 違憲審査の活性化 / 比例原則 / 弱い形式の違憲審査制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、合衆国最高裁の諸判例における違憲審査の基準論の展開を検討することで、日本および合衆国の違憲審査の基準論の比較法的特質を明らかにしようとするものである。 令和2年度の研究実施状況報告書においては、令和3年度について、①違憲審査の基準を総合的に理解するために、違憲審査制の制度設計や運用についても検討し、②違憲審査の基準論について、より広い観点から整理・分析を進めることを計画した。具体的に、①については、違憲審査制の類型論や違憲審査の活性化といった観点から、合衆国および日本の違憲審査の基準の運用について考察することを予定していた。②については、合衆国および日本の先行研究・判例の網羅的な検討を継続する予定であった。 令和3年度の最大の成果は、「違憲審査制の類型論と違憲審査の活性化」と題する論文の公表である。また、付随的に、共編著『精読憲法判例 統治編』の中で、本研究における違憲審査基準論分析の成果をいかして、議員定数不均衡に関する最高裁判決を分析した。これらは、①の違憲審査制の視点からする違憲審査基準論の検討成果である。 「違憲審査制の類型論と違憲審査の活性化」では、近時の日本の最高裁判例の中に、判決・決定に「弱い形式」を付与する審査手法を活用することで、判決等の最終性を緩和しつつ、憲法判断に踏み込もうとするものがあるものの、「弱い形式」の判決等が国家機関相互の対話を育むといえるかについては、慎重な検討が必要であるとした。『精読憲法判例 統治編』で検討した議員定数不均衡に関する判決は、「弱い形式」の判決の一例である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度の研究実施状況報告書においては、令和3年度について、①違憲審査制の類型論や違憲審査の活性化といった観点から、合衆国および日本の違憲審査の基準の運用について考察することを予定するとともに、②合衆国および日本の先行研究・判例の網羅的な検討を継続する予定であった。 ①については、「違憲審査制の類型論と違憲審査の活性化」を公表できたため、おおむね順調に進行しているといえる。他方、②については、論文としての業績の公開を準備中であり、若干の研究期間の追加が必要になると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、引き続き、①違憲審査の基準をより総合的に理解するために、違憲審査制の制度設計や運用についても検討し、②違憲審査の基準論について、昨年度までの研究成果を、より広い観点から整理・分析したい。 ①については、経済的自由権等の特定の人権分野の特徴にも目を配りながら、合衆国および日本の違憲審査の基準の運用について考察することを予定している。②については、昨年度に引き続き、合衆国および日本の先行研究の網羅的な検討を予定している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により、当初計画していた旅費等の支出を行うことができなかった。新型コロナウィルスの感染状況に留意しながら、研究期間 の延長や支出内訳の変更も検討し、適切な支出を継続したい。
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