2023 Fiscal Year Research-status Report
違憲審査基準の動態的把握――比例原則との比較に向けて
Project/Area Number |
18K12635
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
村山 健太郎 学習院大学, 法学部, 教授 (50345253)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 比例原則論 / 違憲審査基準論 / 財産権論 / 経済的自由権論 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、下記の2つの論文が主たる業績である。第1は、「経済的自由権に関して裁判所の果たすべき役割はなにか――合衆国における近時の財産権論の潮流をふまえて」と題する論文の公表である。この論文は、①合衆国における情報主義的財産権論とその中核にある基本設計としての財産権論の検討、②人格的財産権論の意義と限界、③進歩的財産権論の意義と限界を検討し、そのなかで、④比例原則論が財産権論において果たす役割について検討するとともに、⑤日本の判例に照らして経済的自由権に対する裁判所の役割を検討したものである。この論文は、合衆国における近時の財産権論の潮流を踏まえて日本の財産権論を見直す契機となるものであるとともに、違憲審査基準論や比例原則論について経済的自由権論の文脈で再検討したものであると位置づけることができる。第2は、「合衆国における選挙制度をめぐる憲法上の規律――ルチョ判決における党派的ゲリマンダと政治問題の法理との関係を中心に」と題する論文の公表である。この論文は、選挙学会における過去の報告論文を公刊に値するかたちで整序したものであり、直接的には、①基準と準則、②個人の権利と集団の権利、③本物の政治問題と偽物の政治問題という視点から、合衆国における選挙制度をめぐる憲法上の規律について検討したものであるが、間接的には、④民主的政治過程と経済構造(たとえば選挙資金の問題)との関係、⑤合衆国と日本における違憲審査に関する問題(たとえば違憲審査基準論)についても再検討する契機となりうるものであると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の主目的である違憲審査基準論と比例原則論の総論的に比較し本研究を総括する論文については、公刊の見込みはたっているものの、まだ公刊はされていないため、やや遅れていると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の主目的である違憲審査基準論と比例原則論の総論的に比較し本研究を総括する論文について令和6年度中の公刊を目指す。
|