2020 Fiscal Year Research-status Report
Comparative Research on Prevention and Reduction of Statelessness: to guaranty the child's right to acquire a nationality
Project/Area Number |
18K12642
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
付 月 茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (70522423)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 無国籍 / 国籍 / 国際結婚 / 子ども / パンデミック |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度においては、本研究課題の中核ともいえる比較法的検討を行うために、1年間の在外研究の機会を得て、欧州諸国において文献調査および現地調査を行う予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響により、在外研究を取りやめざるを得なかった。また、国内においても、図書館等に赴いて資料収集をすること、講演会やシンポジウムに直接参加することができなかった。 他方で、このような緊急事態のなかで、国籍の意義について改めて考え、新たな課題を認識することもできた。とりわけ、新型コロナウイルス感染症のパンデミック下においては、移民・難民・無国籍者を含む社会的弱者の人権問題が通常時よりも深刻な形で露呈していることがわかった。国家が国外から持ち込まれるウイルスを阻止するために国境管理を一層厳格化したことにより、個人は国籍の有無によって、あるいは居住国の国籍の有無によって、国境を越えた移動や「自国に戻る権利」が大きく制限され、生存権をも侵害される可能性があることを確認した。 以上のような新たな課題への関心を踏まえつつ、本研究課題に関するこれまでの文献調査で得られた情報のアップデートに努め、関連するオンライン講演会やシンポジウムに積極的に参加した。その研究成果の一部は、国際家族法学会の主催する特別オンライン世界大会において報告(英語での口頭報告)をし、家族法関連の書籍および家族法の書籍に反映している(下記の「研究発表」欄を参照)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の3年目に該当する2020年度においては、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、本来予定していた海外調査ができなかった。具体的には、これまでの日本国内を中心に行ってきた文献調査及び海外における短期的な文献・現地調査を踏まえて、2020年度では、本研究課題の中核となる文献・現地調査を行うために、勤務先及び受入先の双方からドイツの研究所において1年間滞在する許可を得て、その準備を進めていたが、渡航直前の2020年3月中旬に新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発表されたことで在外研究が取り止めになってしまった。 長期の在外研究による文献・現地調査は、本研究課題遂行の重要部分となるため、それができなかったことは本研究課題の進捗に少なからずの影響を与えている。日本国内においても、大学図書館では学外者への利用制限がかかるなど、文献収集もままならなくなってしまった。この状況は、当初まったく予期していなかったことで、上記の「研究実績の概要」に書いたように、限られた条件のなかで研究を進め一定の研究成果をあげることができたものの、当初の計画からすれば遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については、研究再開時の新型コロナウイルス感染症の拡大状況によるといわざるを得ない。もし、パンデミックが収まり、海外に渡航しての調査が可能な場合は、当初予定していた比較的見地からの現地調査を中心に進めたい。しかし、依然として海外渡航が困難な場合は、文献調査を中心に進めることとする。その場合は、パンデミックで見えてきた新たな課題についても検討したいと考えている。
|
Causes of Carryover |
2020年度における直接経費に残額が生じたのは、当初計画していた欧州諸国における文献収集・現地調査ができなかったためである。生じた残額は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが収束した場合、欧州諸国における文献収集・現地調査を行うために使用することを予定している。
|
Research Products
(3 results)