2020 Fiscal Year Research-status Report
Comparative study of the application of Community law by national courts in Central America
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18K12644
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中井 愛子 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 准教授 (00815722)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中米統合機構 / 国際法の国内適用 / 地域統合 / SICA / 中米司法裁判所 / 憲法と国際法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は3年計画の3年目であり、追加的な調査を行うとともに、前年度までの研究成果のとりまとめ・発表に中心的に従事する計画であった。 昨年度グアテマラにて収集した資料の分析を進め、他の中米諸国との比較を行った。また、中米統合機構と他の国際統合機構との比較の観点から、共同体法をめぐる類似の法現象が起こっている南米の地域機構の現状を調査するとともに、中米のそれとの比較を行った。さらに、前年度までの調査結果をとりまとめる作業を行った。 これらの研究活動によって以下の研究成果発表を行うことができた。2020年11月に本研究解題の研究成果の一部(中米司法裁判所に関する基礎的な研究)を内容の一部に含む書籍『国際法の誕生―ヨーロッパ国際法からの転換』を出版した。2021年3月に、中米の共同体法の国内適用をめぐる裁判所間対話を紹介した論説「中南米(ラテンアメリカ・カリブ)の国際裁判所と裁判官対話」を発表した。これらの発表に際しては、他の研究者からのフィードバックを得てさらに成果を充実させることができた。 このように、本研究課題の遂行は全体として順調に進んだ一方、COVID-19の流行とそれに伴う渡航制限の影響で、予定していた追加的な現地調査が実施できなかった。現在、本研究課題のまとめの1つとして、中米各国の国内裁判所における中米共同体法の適用のあり方を総覧的に比較し、この地域における憲法と国際法の関係と裁判官対話の現状を提示する論説の執筆に取り掛かっているが、課題の完遂にはまだ追加的な調査を要する状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように、おおむね研究計画どおりの研究成果を上げることができたが、COVID-19の世界的流行の影響で、2020年度に予定していた現地調査がまったく実現できなかった。そのため、研究期間の延長を申請せざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の延長の申請が承認されたので、来年度を最終年度として以下の研究を行う。第1に、予定していた現地調査を実行する。渡航困難が引きつづく場合は、渡航可能な近隣諸国に滞在しながらの調査、何らかの方法での日本にいながらの調査などの補完的な方法を模索・採用する。第2に、研究成果のとりまとめとして、中米各国の国内裁判所における中米共同体法の適用が中米司法裁判所の判決・意見にどのように反映されたかを論説にまとめ、この地域における憲法と国際法の関係と裁判官対話の現状を提示する。
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Causes of Carryover |
予定した現地調査がCOVID-19の流行及びそれに伴う渡航制限のために実施できなかったため。次年度は現地調査のための費用を、現地調査の実現、または、同様の成果を見込むことのできる他の方法での調査の遂行に充てて研究課題を完成させる。
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