2020 Fiscal Year Research-status Report

「保護する責任」と体制転換の緊張関係－既存政府の国際的正統性の観点から－

Research Project

Project/Area Number	18K12648
Research Institution	Kindai University
Principal Investigator	瀬岡直近畿大学, 国際学部, 准教授 (90609546)
Project Period (FY)	2018-04-01 – 2022-03-31
Keywords	拒否権 / アメリカ / パレスチナ紛争 / ジェノサイド条約 / 強行規範 / 保護する責任 / 人道的介入
Outline of Annual Research Achievements	第1に、「パレスチナ紛争に関するアメリカの拒否権行使に対する批判的検討：国際連合における拒否権の本質的制約の視点から」と題する論文を、日本国際連合学会編『国連と大国政治』（国際書院、2020年）に公表した。第2に、「ジェノサイド条約の防止義務に基づく拒否権の法的制限に関する一考察－J. Heieckの議論をめぐって－」と題する論文を、『journal of International Studies』, vol.5, pp. 43-73 に公表した。第3に、2021年3月6日、京都大学主催の国際法研究会において、J. Trahan,　Existing Legal Limits to Security Council Veto Power in the Face of Mass Atrocities, (Cambridge University Press, 2000)の紹介を行った。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 1: Research has progressed more than it was originally planned. Reason 当初の計画以上に進展していると考える理由は、今年度は、以下2つの論文を公表できたからである。すなわち、①「パレスチナ紛争に関するアメリカの拒否権行使に対する批判的検討：国際連合における拒否権の本質的制約の視点から」と題する論文を、日本国際連合学会編『国連と大国政治』（国際書院、2020年）、②「ジェノサイド条約の防止義務に基づく拒否権の法的制限に関する一考察－J. Heieckの議論をめぐって－」『journal of International Studies』, vol.5, pp. 43-73 である。また、2021年3月6日、京都大学主催の国際法研究会（zoomで実施）において、J. Trahan,　Existing Legal Limits to Security Council Veto Power in the Face of Mass Atrocities, (Cambridge University Press, 2000)の紹介を行った。研究会の会員との質疑応答では大変有益なコメントをいただいた。本書は重大な人権侵害に関わる拒否権問題を包括的に扱うきわめて重要な著書である。その意味で、筆者の拒否権研究を進めていく上で、しっかりとその問題提起を受け止めた上で、最終的には乗り越えていくべき先行業績として位置づけられる。こうした問題意識に基づき、現在、本書の書評原稿を執筆中である。
Strategy for Future Research Activity	まずは、J. Trahan,　Existing Legal Limits to Security Council Veto Power in the Face of Mass Atrocities, (Cambridge University Press, 2000)の書評を公表したい。また、本書の中心的な主張である強行規範に基づく拒否権の制限についても積極的に論文を公表していきたい。
Causes of Carryover	本年度は、コロナウイルス拡大の影響により、国連や各国の公文書館に赴き、資料を収集する時間を取ることが出来なかった。次年度は、関連する実行の1次資料を収集するために、アメリカ、イギリスなどに赴く際に、相当額の旅費が必要で有ると考えている。